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市長室からこんにちは(平成26年11月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月1日更新

 読書の秋です。特に10月27日から11月9日までの2週間は「読書週間」とされています。そこで、今回は読書について思うことを述べてみます。

 読書の最大の動機は、一冊の本の中に凝縮された広大無辺の世界に触れる喜びでしょう。

 例えば、不世出の学者が数十年かけて構築した学術体系も、ほんの短時間集中すれば、そのまま自分の頭の中に写し取ることができます。あるいは、七つの海を巡った冒険家の波乱万丈の生涯を、居間のソファーに深く身をゆだねながら追体験することができます。紙一重の薄さに過ぎない頁を繰れば、数千年前の文明の起源や数万光年離れた銀河の輝きがたちまち鮮明な彩りとともに眼前に現れます。活字を目で追うだけで、主人公の勇気と情熱に心を揺さぶられ、はたまた引き立て役の滑稽さに失笑させられ、ついには奇想天外な幕切れにしばし呆然となったりします。

 このようにして読書は私たちを別世界に連れ出し、往々にして時間を忘れさせますが、さらに思考力や表現力を発達させる効用をも伴います。

 人間が何かを考える時には必ず言葉を使います。使える言葉の数が多くなれば、それだけ思考の精度も高まります。裏を返せば、複雑で高度な論理や構想を編み出すには、語彙が豊富でなければならないのです。

 考えた内容を伝達する手段もやはり言葉です。口頭であれ、書面であれ、相手に正確に理解してもらうには、多くの選択肢の中から適切な言葉を選び抜いて正しく配列し、筋道の通った文を仕立てる必要があります。

 このように、緻密な思考と達意の表現は語彙の豊かさを前提として成り立つものであり、それは読書を通じて浴びるように多くの文例に接するうちに身に付くものです。

 本は熟読玩味すればするほど、趣味と実益の両面において人生を豊かにしてくれる貴重な存在です。そう思えば、秋の夜長のひと時がいっそう価値あるものに感じられます。