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市長室からこんにちは(平成26年10月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年10月1日更新

 いよいよ秋も深まってきました。秋に咲く花は数ありますが、一番の代表格と言えばやはり菊ではないでしょうか。春に爛漫と咲き誇り、やがてはらはらと散る桜と並んで、気高く優雅な菊もまた日本の国花とされています。

 とはいいながら、菊は日本原産の花ではありません。奈良時代の後半に中国から元々は薬用として伝わったとする説が有力なようです。そのためか、奈良時代に編纂された万葉集には菊は全く登場せず、平安時代になって古今和歌集や源氏物語の作中に現れ始めます。

 春には花見があるように、秋にも旧暦9月9日の重陽の節句に菊見酒を楽しむ風習がありました。今ではあまり馴染みがありませんが、花札で菊の十点札に盃が描かれているところに、私などはその名残を見てうれしくなります。余談ながら、こいこいのルールでは、この札は桜もしくは芒(すすき)の二十点札と揃えば「花見酒」「月見酒」の役が出来るだけでなく、カス札として算入することも可能で、誠に使い勝手のよい一枚となっています。

 菊の花言葉は「高貴」。鎌倉幕府成立前後という時代の転換期に第82代天皇として在位し、譲位の後に承久の乱を起こして、隠岐に配流された後鳥羽上皇はことのほか菊を好まれました。お身の回りの品や自ら命じて造らせた刀に決まって菊の紋章を入れられたのを、その後代々の天皇が倣われ、徐々に皇室の御紋章として定着するようになります。まさに花言葉にふさわしい地位を確立したともいえます。菊花紋章は日章旗と同じように日本の国を象徴する紋様であり、パスポートの表紙などにも大きく描かれています。

 美都町都茂の秦記念館では毎年秋に菊花展が開催されます。化学療法という新機軸により人類に計り知れない恩恵をもたらした秦佐八郎博士もまた菊のこよなき愛好者でした。凛とした菊の咲き姿は、苦難をものともせず研究に邁進した博士の気概とも重なって映ることでしょう。