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市長室からこんにちは(平成27年9月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月1日更新

 数年前から島根県では行政文書の中で「自殺」という表現が廃止され、「自死」に統一されています。加害的な意味合いのある「殺」という字が自死遺族に耐えがたい苦痛をもたらすことに配慮した措置です。

 これに対し、言い方を変えたからといって根絶されるわけではないという指摘や、特定の言葉に対する過度な規制、いわゆる言葉狩りではないかという批判もあったようです。しかし、島根県の方針は何よりも遺族の心情に寄り添うことに主眼を置くものといえます。

 生存という人間の根源的な欲求に逆らい自ら命を絶つということは、それに至るまで筆舌に尽くしがたい苦悩があったということにほかなりません。遺族はその跡をたどるように同じ苦しみを味わいます。また、近くにいながら防ぐことができなかった悔恨の念やどうしても意識せざるを得ない周囲の視線によってさらにさいなまれることになります。こうした苦痛が少しでも和らぐのであれば、より受け入れられやすい言葉を選ぶのは妥当な判断だと考えます。

 今年3月、自死遺族の集いである「しまねわかちあいの会・虹」の主催により、「しまね自死遺族フォーラム」が益田市内で開催されました。フォーラムにおいては、大切な人を自死によって失った悲しみが切々と語られました。

 この集いのもともとの目的は想いを分かち合い、互いに支え合うことでしたが、今では悲しみと苦しみをありのままに受け止めながら、多くの人に自らの体験を知ってもらうことで、自死によって苦しむ人をこれ以上増やすまいとする啓発活動へと広がっています。身近な人の死を悲しいままで終わらせてはならないという祈りに似た思いによって、様々なものを乗り越えようとしておられるのです。

 9月10日からの一週間は自死予防週間となっています。当たり前のように生きている日々がいかに貴重なものかということをあらためてかみしめたいものです。