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市長室からこんにちは(平成26年3月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月1日更新

 早春はいくつかの感情が交わる季節です。風がまだ寒く、川の水がなお冷たい中、草木や虫たちの新しい生命の息吹が少しずつ現れて、なんとなく心を弾ませます。また、年度の変わりめという大きな区切りを控え、年の瀬に似た気ぜわしさもあります。その一方で、来るべき新たな出会いを前に、なじんだ環境、親しい人との別れが迫る、そんな切なさもあります。この意味において早春を彩る風物詩の一つが卒業式です。

  「卒業」という漢字を読み下せば、「業を卒える(おえる)」となります。学校に入ることが入「学」とされるのに対し、「業」という字が使われるのは、学業のすべての課程を修了したことを称える意味があるのかもしれません。また、「業」という字には逃げられない苦しいものというイメージもあって、刻苦勉励からの開放感も読み取れる気がします。

 英語では卒業を「グラジュエーション」といいます。これは段階を表す「グレード」と同じ語源で、階段を一つずつ上っていく様子が思い浮かびます。小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学、大学から大学院、そして社会人へと卒業の度に成長していくことから、卒業を人の伸びゆく節目にたとえることもできます。

 卒業式を表す英単語に「コメンスメント」があります。主にアメリカで使われる用法ですが、もともとは「始まり」を意味する言葉でもあります。卒業式の趣旨として、最終学年終了の認定より、むしろ人生の次の舞台に踏み出す者への激励に重きを置く表現で、前途への希望がふくらむ前向きな響きがあります。

 この春、卒業を迎える方々にもそれぞれの感慨や抱負がおありのことでしょう。数年間の営みが一時間ほどの儀式と一枚の卒業証書に凝縮される卒業式の朝、式場の余寒を厳粛な感動が満たしてくれることを願っています。