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市長室からこんにちは(平成27年11月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月1日更新

 11月3日は明治時代の天長節(天皇誕生日)で、昭和になって明治節となりました。戦後、昭和21年のこの日に平和と文化を尊重する日本国憲法が公布されたことから、「文化の日」と定められました。文化に関する祝祭日を設けている国は少なく、他にはわずかにブルガリアが5月24日を「教育・文化の日」としているくらいといわれています。
 司馬遼太郎の『アメリカ素描』というエッセイ集に、文明と文化を比較して論じている興味深いくだりがあります。文明を「たれもが参加できる普遍的なもの・合理的なもの・機能的なもの」と定義する一方、文化については、むしろ不合理なものであり、特定の集団(たとえば民族)においてのみ通用する特殊なもので、他に及ぼしがたい、つまりは普遍的でない、としています。それと同時に、その不合理さゆえに文化には美しさと安堵感があるのだとも述べています。文明なしに現代の快適な生活は成り立ちませんが、かといって文化がなければ、心の豊かさや幸福感は得られないのかもしれません。
 人間にとってこれほど大切な文化ですが、その活動が経済原理に合致するとは限りません。単独で採算の合う文化事業や専業の文化人はなかなか存立しえないのが実情といえます。古代や中世には封建領主や豪商が個人の趣味で芸術家を庇護したり、名画や工芸品を収集したりして、文化を支えました。現代の日本は巨万の富を代々承継できる仕組みになっておらず、多くの場合、文化の維持や振興には国や地方自治体の支援が必要といえます。
 しかし、仮に益田市の事業ということになれば、市民の財産を投じることにほかならず、広く市民の理解を得る必要があります。そのためにも、啓発活動や教育により、文化の価値と必要性を共通認識へと高めていく努力が重要だと考えています。
 余談ながら、11月3日は3月14日や5月13日などと並んで晴天の確率の高い「晴れの特異日」とされています。この奇遇にもささやかな幸福を感じます。