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市長室からこんにちは(平成28年1月号)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年1月1日更新
 益田市の花がスイセンと定められたのは、先の合併からちょうど1年後の平成17年11月1日のことで、以来ほぼ10年です。スイセンという呼び名は漢語の「水仙」からそのまま来ており、水辺にたたずむ仙人のような気品ある咲き姿や芳しい香りに由来するとされています。
 一方、スイセンの学名(世界共通の学問上の名称)はナルキッスス(英語ではナルシサス)といいます。これは、ギリシア神話に出てくる美少年ナルキッソスの故事に基づくものです。
 物語にはまずエーコーという妖精が登場します。彼女は以前にとあるいきさつから、相手の言葉をオウム返しすることはできても、自分から声を発することができなくなるという罰を受けていました。ナルキッソスを一目見た彼女は熱烈な恋に落ちますが、悲しいかな想いを伝えるすべがありません。それに、もともとナルキッソスは他者の感情に冷淡な性格でした。絶望したエーコーはやせ衰え、やがて声だけを残して肉体は消えてしまいました。こだまや反響を意味する「エコー」はこの哀れな妖精の名が語源です。
 その後もナルキッソスは言い寄ってくる女性をことごとく袖にします。あきれ果てた復讐の女神ネメシスは彼を終生実らぬ恋に陥れることにします。ある日ナルキッソスが泉の水を手ですくおうとしたとき、水の中に息を飲むような美貌を発見し、釘づけになってしまいました。水面に映った自分自身に恋い焦がれたナルキッソスはついにうつむき加減に咲く一輪のスイセンと化してしまったのです。
 スイセンの花言葉が「うぬぼれ」や「自己愛」なのも、ナルシスト(元来はナルシシスト)という用語があるのもこのためです。私としては、あまり美男子でなくてよかったのだと自分に言い聞かせたいところです。
 「雪中花」の別名も持つスイセンが、高島と唐音の蛇岩を背に真冬の海岸一面に咲く光景を心ゆくまで満喫できるのが、水仙の里かまてウォークです。益田の新年を飾る、鎌手地区ならではの催しです。