旧割元庄屋 美濃地屋敷が国の登録有形文化財(建造物)に登録されます

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年11月17日更新
平成29年11月17日(金曜日)に開催された国の文化審議会文化財分科会の審議を経て、同審議会は新たに、旧美濃地家住宅主屋(きゅうみのじけじゅうたくしゅおく)、旧美濃地家住宅米倉(きゅうみのじけじゅうたくこめぐら)を含む188件の建造物を登録するよう文部科学大臣に答申を行いました。

今後、官報告示を経て正式に登録されることとなりますが、益田市においては9件目、10件目の登録有形文化財(建造物)となります。
美濃地屋敷全景
【旧割元庄屋美濃地屋敷 全景】

今回登録される建造物について

旧美濃地家住宅は、江戸時代後期に上道川村にて周辺の村々を掌る割元庄屋(大庄屋)を務め、名字帯刀を許された美濃地家の屋敷建物です。

平成15年に当時の匹見町が美濃地家より屋敷建物の寄贈を受け、大規模改修を行ったのちに平成17年からは「旧割元庄屋 美濃地屋敷」として地域のコミュニティセンターとなって保存活用が図られています。

今回、登録文化財となる主屋、米蔵ともに江戸時代後期の建築であるとされ、割元庄屋としての生活の様相を伝える点で当地において極めて貴重な遺構であると評価されました。

建築の特徴

旧美濃地家住宅主屋

主屋は木造平屋一部2階建で、間口13間半(約26メートル)、奥行8間半(約16メートル)の南北の細長い形状とした延べ床面積372平方メートルの規模を持つ建築です。

基礎は土台建で、軸部は白漆喰塗の真壁で簓子(ささらこ)下見板張の腰壁を廻し、下屋部分と土庇は赤褐色の桟瓦葺として屋根は挽板を角材でおさえた上に木棟を載せて本ぐしの棟形式とした茅葺の入母屋造です。

美濃地家住宅主屋美濃地家住宅主屋南面

屋根は側面ならびに背面を短く切り上げた特徴的な形状として勾配を9寸返しとする急勾配なもので、国内最西端の豪雪地帯に所在する気候風土に応じた造りとなっています。

平面構成は、下手に広い土間を持ち、上手の床上部は食違い七間取りとしていますが、一般的に客座敷を最も奥まったところに置くことに対して、「座敷」の上手にさらに「上の間」と呼ばれる小間を持つことが際立った特徴として認められます。

多くの農家建築では表側と裏側の諸室は建具で緩やかに隔てられるのが一般的ですが、本建物では座敷飾や押入等で物理的に明確に隔てられています。

また、式台のつく「中の間」より上手の「座敷」・「上の間」だけでなく下手の「表」にまで及ぶ表側のすべての部屋に長押(なげし)を巡らせ、さらに縁側にまで長押をとりつけて、明らかに裏側に対して格式を高めた造りとなっています。このように表側を際立てて格式を重んじた設えとしていることは、美濃地家が割元庄屋(大庄屋)として近隣の数村をつかさどり、藩の役人を迎える家格にあったことをよく表しています。

美濃地家座敷美濃地家いろり

美濃地屋敷平面図

旧美濃地家住宅米蔵

米蔵は美濃地家住宅の敷地北東隅に主屋と庭園をはさんで立ち、当時は「上の倉」と呼ばれていました。間口は2間、奥行を6間とした土蔵造2階建で、切石積基壇の上に、簓子(ささらこ)下見板張の腰壁を取り回し、壁は白漆喰塗の大壁、軒は鉢巻とし、屋根は赤褐色の桟瓦葺とした切妻造としています。

米蔵外観1美濃地家住宅米蔵(前面道路から)

全体的に装飾は比較的簡素で、妻飾りに正面が鳳凰、背面を美濃地家の家紋である剣花菱を象った鏝絵(こてえ)を掲げていることが目を引く程度となっています。2階の開口部も鉄格子窓が2か所、中央に青く縁どられた虫籠窓(むしこまど)が一つ設けられただけです。

米蔵鏝絵美濃地家住宅米蔵(鉄格子窓、虫籠窓)

旧美濃地家住宅土蔵は、展示施設として使用されるようになったことで、内部に多少の改造が施されていますが、内外ともに往時の趣を残しており、主屋と共に同家の屋敷景観を伝える遺構として貴重なものと言えます。

登録有形文化財(建造物)とは

文化財登録制度は、平成8年に施行された文化財保護法の一部改正により創設されたもので、何もしなければ壊される危険性のある貴重な建物(主に近代以降のもの)を、ゆるやかな規制によって将来に守り伝えていくものです。

益田市教育委員会では、地域の歴史を語る上で欠くことのできない建造物として、今後も登録有形文化財を増やし、地域の財産として保存・活用を図っていきたいと考えています。


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