旧美濃地家住宅が登録有形文化財(建造物)となりました

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月29日更新
昨年11月、国の文化審議会が文部科学大臣に対して答申した旧美濃地家住宅の主屋(しゅおく)と米蔵(こめぐら)が、3月27日の官報告示により、正式に国の登録有形文化財(建造物)となりました。
旧美濃地家住宅の2件の登録により、益田市の登録有形文化財(建造物)の件数がちょうど10件となりました。
美濃地屋敷外観全景

美濃地家について

美濃地家は、江戸時代後期に、上道川村にて周辺の村々をつかさどる割元庄屋(大庄屋)を務め、苗字・帯刀を許されていたという旧家です。
美濃地家の家系図によると4代・宗忠が都茂鉱山の代官に命じられ、多大な功績を残して浜田藩内での信任を高め、10代・久忠の時に現在の地となる上道川村に移ったとされます。その後は鉱山の支配人を務める一方で村政をつかさどる庄屋を担い、明治以降も戸長・村長を務めるなど当地の中心となる家柄でした。

主屋について

主屋外観
主屋は、木造平屋一部2階建で、間口13間半(約26メートル)、奥行8間半(約16メートル)の南北に細長い形状とした建築面積約350平方メートルの規模を持ち、畳は長手を6尺3寸とした京間の内法制に基づく建築です。
存在感のある急こう配の屋根は、挽板を角材をおさえた上に木棟を載せて本ぐしの棟形式とした茅葺の入母屋造としています。
間取りは、下手側に農家建築の一般的な特徴である広い土間を持ち、上手側の床上部は食違い七間取りとし、表側を下手より「表」、「中の間」、「座敷」、「上の間」と並べ、同じく裏側も「居間・四畳」、「奥の間」、「先の間」としています。さらに土間に突き出して「囲炉裏」、西側に張り出す形で「勝手」、「茶の間」、そして北西隅には便所・湯殿・化粧部屋からなる一画が置かれています。「先の間」の北西隅には、主屋における唯一の2階の部屋へと通じる箱段が襖で隠すように置かれています。この2階の部屋は大部分が押入となっており、居室としてよりは物置として使用されていたのではと推測されます。
旧美濃地家住宅では、一般的に客座敷を最も奥まったところに置くことに対して、「座敷」の「上手」にさらに「上の間」と呼ばれる小間を持つことが他に見られない特徴として認められます。また、農家建築では表側と裏側の諸室は建具で緩やかに隔て、縁側を介して双方の通行を可能としていますが、この建物では座敷飾や押し入れ等で表側と裏側をより物理的に明確に隔てていることも際立った特徴です。さらに、2階に通じる箱段を襖で隠すようにつくっており、盗難への強い配慮がうかがわれます。割元庄屋ならびに鉱山支配人として、多くの財産・金品を管理・保管する必要と責任があったことが推測される特徴です。
式台の付く「中の間」より上手の「座敷」、「上の間」だけでなく、下手の「表」にまで及ぶ表側のすべての室に長押を巡らせ、裏側に対して格式を高めた造りとしています。このように表側を際立てて格式を重んじた設えとしていることは美濃地家が割元庄屋として近隣の数村をつかさどり、藩の役人を迎える家格にあったことを示すものと言えます。
美濃地屋敷(表)
【長押が巡らされ格式を高めた造りの「表」】
美濃地屋敷(座敷)
【接客用の設えが整えられた「座敷」】
美濃地屋敷(囲炉裏)
【桜材の大振りの囲炉裏が置かれた「囲炉裏」】

米蔵について

米蔵外観
米蔵は、敷地北東隅に主屋と庭園をはさんで立つ「上の倉」と呼ばれていた土蔵です。
間口2間、奥行6間とした土蔵造(木造漆喰塗込)2階建で、切石積基壇の上に簓子(ささらこ)下見板張の腰壁を取り回し、壁は白漆喰塗の大壁、軒は鉢巻とし、屋根は赤褐色の桟瓦葺とした切妻造です。
装飾としては、妻飾に正面を鳳凰、背面に美濃地家の家紋である剣花菱を象った鏝絵を掲げています。前面道路に向かって2階に鉄格子窓が2か所、中央に青く縁どられた虫籠窓が1つ設けられています。
建築年代は不詳ですが、台鉋による製材と和釘を使用していることから、江戸時代後期の建築ということが推定されます。
一般に土蔵は戸前を1か所とするものが多いですが、この米蔵は南面と西面の2か所に設けています。これは元々南側から2間の箇所に間仕切壁を入れて内部を隔てており、南側を米蔵、西側と2階を道具蔵として使っていたことによります。
現在は、展示施設として活用していることから内部に多少の改造が認められますが、内外ともに往時の趣を残しており、美濃地家の屋敷景観を伝える貴重な遺構として評価されます。
米蔵外観(前面道路から)
【米蔵の外観(前面道路から撮影)】
鳳凰の鏝絵
【表側につけられた鳳凰の鏝絵】

見学のご案内

旧美濃地家住宅(旧割元庄屋美濃地屋敷)は下記の時間帯に開館しております。

開館時間:9時から16時

休館日:月曜日、祝日の翌日、12月16日から翌3月15日まで


益田市役所本庁
〒698-8650 島根県益田市常盤町1-1(地図・アクセス
Tel:0856-31-0100(代表) 電話番号等のご案内[本庁/美都総合支所/匹見総合支所]
開庁時間:月曜~金曜日の8時30分から17時15分まで(土曜・日曜日、祝日、年末年始は閉庁)