第543回益田市議会定例会 市長所信表明

更新日:2022年01月14日

益田市議会定例会にて市長が所信表明を行っている様子の写真

はじめに

 第543回益田市議会定例会の開会に際し、市長として3期目の市政運営に臨むにあたり、市民の皆様及び市議会議員各位のご理解とご協力を賜るべく、所信の一端を申し述べます。

 平成24年8月の市長就任以来、「市民の幸福の実現」を目的とし、「対話と協調」を基本姿勢としながら、必要かつ有効な施策を講じる一方で、今後の本市の発展につながる具体的な成果をあげてきました。このような2期8年の取組とその姿勢に対する一定の評価と「市政の継続と安定」への強い願いが、先日の市長選挙において示された市民の皆様のご意思であったと受け止めております。

 今任期の4年間については、益田市発展の道筋をより確かなものにし、信頼と期待に応えることが求められていると考えております。

基幹的計画の着実な進捗

 令和2年度においては、いくつかの基幹的計画をすでに策定し、または年度内に策定することとしており、今任期中はその着実な進捗が重要となります。

 本市の最上位計画である「益田市総合振興計画」と、総合的な人口減少対策のための「まち・ひと・しごと創生 益田市総合戦略」は、一体的な推進と進捗管理を行うこととしており、いずれも令和3年度を始期とする次期計画を令和2年度中に策定いたします。

 また、令和2年6月に策定した「益田市国土強靱化地域計画」に基づき、大規模災害に備え、事前の準備を進めるとともに、それを地域の活性化につなげることで「持続可能で強靱な地域づくり」を進めてまいります。

 さらに、平成28年度に策定した「益田市公共施設等総合管理計画」に基づき、「益田市総合管理計画個別施設計画」を令和2年度中に策定し、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進してまいります。

 その他、本来であれば2020年の東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ実施に先行させることを想定して令和2年6月に策定した「益田市自転車活用推進計画」に基づき、自転車を活用したまちづくりを推進するとともに、「第8期益田市老人福祉計画」、「第8期益田市介護保険事業計画」、「第6期益田市障がい福祉計画」、「第2期益田市障がい児福祉計画」及び「第2次益田市健康増進計画」を令和2年度中に策定し、地域福祉の充実及び市民主体の健康づくりの推進を図ります。

危機管理

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、今まさに直面している危機といえます。令和2年8月下旬現在、全国的にも新規の感染者は増加しており、県内においても大規模な集団感染が発生したなか、本市において、1例目となる感染者が確認されたところです。また、感染防止のための活動等の制限が長期化し、企業収益や個人所得にも甚大な影響が生じています。

 今後も引き続き、国の交付金等を最大限活用するなどして、市内における感染防止及び経済的影響の緩和に努めることとします。

 また、自然災害については、近年さらに頻度を増し、激甚化、広範囲化する傾向にあります。市民の生命・財産を守り、安全安心を確保するため、平時には関係機関と連携した事前防災の取組を進めるとともに、危機発生時には迅速かつ的確な判断と市民の皆様への効果的な情報発信及び避難誘導に努めることとします。

連携と協働

 昨今、行政課題が複雑・多様化する一方で、人員や財源等のリソースは限られるなか、他の機関や民間の取組との相乗効果が期待できる事項については、施策の最大限の効果が発揮されることを期待し、様々な分野において連携を重視する一方で、さらなる協働の推進のため、令和2年3月に「益田市協働のまちづくり推進条例」を制定したところです。

 そのようななか、地区の現状と課題に対応し、地区住民の総意で事業を立案・計画し、自ら実行・運営していく地域自治組織については、市内20地区中17の地区で設立・認定に至っています。今後も、未設立地区における設立実現と各地域自治組織の持続可能な運営に向け、助言と支援を行ってまいります。

 また、市内の地域活動や各分野の人材育成の取組に伴走しながら支援を行う中間支援組織とも積極的に協働するとともに、必要な支援を行っていく考えです。

 今後も、市内外を問わず、地域振興、医療、福祉、農林漁業から商工業に至る産業全般、インフラ整備、教育等の分野において、幅広く連携と協働を推進することにより、資源の最適活用を図り、住民福祉の向上を目指していくこととします。

行財政改革

 これまで市民の皆様のご理解をいただきながら多面的に行財政改革を進めてきた結果、市債残高等の将来負担は着実に減少する一方、不測の事態に備えるための財政調整基金については、私の市長就任直前の平成23年度決算における3億9,500万円から、令和元年度決算では10億5,700万円まで積み増すことができたところです。

 しかしながら、今後も少子高齢化に伴う社会保障費の増加や公共施設の老朽化に伴う修繕・更新費用の増加が見込まれ、財政状況はさらに厳しさを増すことが予想されます。持続可能な行政運営のため、市民や議会のご理解・ご賛同をいただきながら、さらなる行財政改革を推進してまいります。

主要課題

 3期目においては、基本的にこれまでの主要な取組を土台として、今後のさらなる発展の流れを確実にしていきたいと考えております。

 まず、「交通インフラの利用拡大、整備促進、及び都市基盤整備の推進」に関連し、萩・石見空港については、国土交通省の「羽田発着枠政策コンテスト」により、令和5年3月25日まで延長されることとなった東京線2往復運航の永続的な継続及び大阪線の運航期間拡大のため、引き続き、島根県、山口県、近隣市町、経済団体等と連携し、持続可能な旅客需要の創出を図ります。

 山陰道については、令和に入り、三隅・益田道路の開通予定時期が明示され、益田西道路が新規事業化するなど、目に見えた進捗がありました。引き続き、小浜~田万川間の整備促進を含め、高速道路ネットワークの早期形成について、強く国に働きかけます。

また、市街地の都市基盤整備については、地元住民との連携をさらに深め、事業進捗を図ってまいります。 

 次に、「未来のまちづくりにつながる先端開発推進」について申し述べます。

 新しい技術を活用した行政課題の解決という切り口から始まったIoT関連事業は、令和元年度と令和2年度に連続して国土交通省の「スマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクト」として採択されるという進化を遂げました。今後、情報通信網等の都市基盤を充実・刷新するなど、市内外の意欲的な企業や研究機関等が先駆的なサービスを提供できる環境を整備していくことで、生活の利便性・快適性向上と地域経済の活性化につなげていくことを目指します。

 また、全世界で2030年の達成を目指している「持続可能な開発目標(SDGs)」の趣旨に合致する技術を活用した「益田モデル」については、引き続き企業や研究機関等による実証実験に協力する一方、同じ目的を掲げて活動する団体と密接に連携し、その普及を推進します。

 これらの先端開発推進により、農業経営、インフラ、保健・医療、防災等における最適化を図っていくことで、超高齢社会に対応できる益田発の未来のまちづくりにつなげてまいります。

 次に、「日本遺産認定を有効に活かす施策の推進」について申し述べます。

 令和2年6月19日に「中世日本の傑作 益田を味わう-地方の時代に輝き再び-」が日本遺産に認定されたことは、中世益田に関連する様々な文物が「地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー」を構成するものであると公認されたことを示しています。

 このことは、これまで本市が官民連携により進めてきた「歴史を活かしたまちづくり」の画期的な成果と位置づけることができ、国内外に向けた発信力を飛躍的に高める契機ともなり得るものです。また、今後の展開に際し、ハード・ソフト両面で国の補助制度を活用することも可能となりました。

 そこで、さらに歴史に関する調査・研究を継続する一方で、一層の地域活性化と観光振興を目指し、訪れる人に中世益田の歴史を体感していただける受け入れ環境を整えるなど、地元住民を巻き込んだ機運醸成や基盤整備を推進してまいります。

 続いて、「益田市型中高一貫教育の推進」について申し述べます。

 平成28年3月に「益田市ひとづくり協働構想」を策定し、「ひとづくり」を市の施策の中心に据える一方、以前からの子育て支援と教育の一体的な取組に加え、ライフキャリア教育の理念を打ち出し、地域・企業・学校・行政等が連携して推進してきました。

 「益田版カタリ場」や「新・職場体験」などにより、益田市の未来を担う子どもたちは、ロールモデルと出会い、地域への愛着や将来的に故郷で活躍したいという意欲を高めており、令和2年度には、専門的人材がこれらの取組を主導する中間支援組織及び関係者によるコンソーシアムが設立されるという新たな展開も見せています。

 一方で、複雑化する社会を強く生き抜くためには、ライフキャリア教育による育成が期待できる「非認知能力」だけでなく、「基礎的学力」も重要であり、両者が相互に高めあっていくあり方が理想的といえます。そこで、広く児童・生徒の「学力育成」を図る仕組みと環境をつくるため、益田市内の中等教育に係る学校教育体制の下、中学校と高等学校の教育活動を一貫した流れのなかで実施する「益田市型中高一貫教育」を実現させたいと考えております。

 そのため、市長と教育委員会で構成する総合教育会議において十分に協議・調整し、また、想定される連携の相手方と綿密に協議を進めることで、認識の共有と合意形成を図り、より重層的に「ひとが育つまち益田」の実現を目指してまいります。

おわりに

 日本遺産認定によって、中世益田の繁栄が「日本の文化・伝統を語るストーリー」の構成要素の一つと認められたことは、かつての栄光の残り火ではなく、今もなお息づく誇りであり、さらには、未来につながる希望でもあります。そして、この事例以外にも、あと少しで花開くことになりそうな新しい芽や種が、すでにあちらこちらに育ちつつあります。

 益田市の取組を、全国や世界にさきがけるものとして完成させ、発信することができれば、それは単に物質的豊かさをもたらす即時的な成果となるだけでなく、市民一人ひとりが、このまちに生まれ、このまちに生き、このまちで活躍することを誇りと思える心のよりどころともなることでしょう。そのような「益田プライド」を市民の皆様と一緒に築いていきたいと深く念じております。

 市民の皆様並びに市議会議員各位の一層のご理解とご協力を切にお願い申し上げ、3期目の所信表明の締めくくりといたします。

この記事に関するお問い合わせ先

政策企画局 秘書課
〒698-8650 島根県益田市常盤町1番1号
電話番号:0856-31-0111
ファックス:0856-23-2456

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