介護認定審査委員会の審査判定について

更新日:2022年01月04日

1 目的

 本運営要綱は、介護保険法に定める介護認定審査会(以下、「認定審査会」という。)の適切な運営に資することを目的とする。

2 認定審査会の委員の構成

1)委員の構成

 委員は、保健・医療・福祉の各分野に関する学識経験の均衡に配慮した構成とする。その際、以下の点について留意する。

(1)学識経験の判断について

 委員の学識経験の分野等については、市町村長が個々の委員について判断する。

(2)保険者との関係について

 認定審査会における審査判定の公平性を確保するために、原則として保険者である市町村の職員以外の者を委員として委嘱することとするが、委員確保が困難な場合は、保健・医療・福祉の専門職であって認定調査等の介護保険事務に直接従事していない市町村の職員を委員に委嘱することは差し支えない。

(3)認定調査員との兼務について

 委員は、当該保険者の認定調査員として認定調査に原則として従事することはできない。ただし、他に適当な者がいない等の理由でやむを得ず委員が認定調査に従事せざるを得ない場合はこの限りでない。その場合であっても、委員が認定調査を行った審査対象者の審査判定については、当該委員が所属する合議体では行わない。

2)合議体の設置

 合議体についても、保健・医療・福祉の各分野に関する学術経験の均衡に配慮した構成とする。合議体の委員の定数については、以下の場合などにおいて、5人より少ない定数によっても認定審査会の審査判定の質が維持されるものと市町村が判断した場合、5人より少ない人数を定めることができる。ただし、この場合であっても、少なくとも3人を下回って定めることはできない。

  • 要介護認定及び要支援認定の更新に係る申請を対象とする場合
  • 委員の確保が著しく困難な場合

 特定の分野の委員の確保が困難な場合にあっては、当該分野の委員を他の分野より多く合議体に所属させることとした上で、会議の開催にあたって定足数を満たすよう必要な人数が交代に出席する方式でも差し支えない。認定審査会に設置する合議体は、一定期間中は固定した構成とすることとするが、いずれの合議体にも所属しない無任所の委員をおいた上で、概ね3か月以上の間隔をおいて合議体に所属する委員を変更することは可能である。なお委員は、所属しない合議体における審査判定に加わることはできない。なお、委員確保が特に困難な場合を除き、複数の合議体に同一の委員が所属することは適切ではない。

3 認定審査会の会長職務の代行者の指名

 認定審査会の会長は、会長に事故あるときにその職務を代行する委員をあらかじめ指名する。

4 合議体の長及びその職務の代行者の指名

 市町村が別段の定めをおく場合を除いて、合議体の長は合議体を招集し、その会務を総理する。合議体の長が所属する合議体の会議に出席できないときは、当該合議体に所属する委員であって合議体の長があらかじめ指名するものがその職務を代理する。

5 認定審査会の議決

 認定審査会(合議体を置く場合は合議体を含む。以下同じ。)は、委員のうち保健・医療・福祉のいずれかの分野の学識経験を有する委員を欠くときは会議を開催しないことが望ましい。審査判定にあたっては、できるだけ委員間の意見の調整を行い、合意を得るよう努める。その上で、認定審査会の議事は、会長(合議体にあっては合議体の長をいう。以下同じ。)を含む出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは会長の決するところによる。

6 審査及び判定

 認定審査会は、審査対象者について、認定調査票のうち「基本調査」及び「特記事項」並びに「主治医意見書」に記載された主治医の意見に基づき、「要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成11年厚生省令第58号)」による要支援認定基準及び要介護認定基準(以下「認定基準」という。)に照らして、

  • 要介護状態、又は要介護状態に該当すること
  • 介護の必要の程度等に応じて認定基準で定める区分(以下「要介護状態等区分」という。)

について、審査及び判定を行う。

 要介護状態等区分の決定に当たっては要介護認定等基準時間等に基づき、 介護に係る時間の審査(以下「介護の手間に係る審査判定」という。)を行い、介護の手間に係る審査判定において、要介護認定等基準時間が三十二分以上五十分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)又はこれに相当すると認められる状態に該当すると判定された審査対象者については、認知症の程度や心身の状況の安定性等に基づき、心身の状態の維持又は改善可能性の審査(以下「状態の維持・改善可能性に係る審査判定」という。)を行い、要介護1又は要支援2のいずれの要介護状態等区分に該当するかの判定を行う。

 さらに、特に必要がある場合については、

  • 被保険者の要介護状態の軽減または悪化の防止のために必要な療養に関する事項
  • 居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスの有効な利用等に関し被保険者が留意すべき事項

について意見を付する。

 なお、40歳以上65歳未満の審査対象者にあっては、「主治医意見書」により介護保険法施行令(平成10年政令第412号)に規定される特定疾病によって生じている障害を原因として要介護状態又は要支援状態となっていることを確認する。

7 認定審査会開催の手順

1) 事前の準備

 委員は、別途通知する実施要綱に基づき都道府県又は指定都市が実施する認定審査会委員に対する研修(認定審査会委員研修)を受講し、審査及び判定の趣旨、考え方、手続き等を確認する。市町村は、認定審査会開催に先立ち、当該開催日の認定審査会において審査及び判定を行う審査対象者をあらかじめ決めた上で、該当する審査対象者について以下の資料を作成する。

  • 基本調査の調査結果及び主治医意見書を用いて、市町村に設置されたコンピュータに導入するために国が別途配布する一次判定用ソフトウエア(以下「一次判定ソフト」という。)によって分析・判定(以下「一次判定」という。)された結果等を表出したもの(以下「認定審査会資料」という。)
  • 特記事項の写し
  • 主治医意見書の写し

 これらの資料については、氏名、住所など個人を特定する情報について削除した上で、あらかじめ認定審査会委員に配布することが望ましい。

2) 審査及び判定の手順

 基本調査の結果を、特記事項及び主治医意見書の内容と比較検討し、基本調査の結果との明らかな矛盾がないか確認する。
 これらの内容に不整合があった場合には再調査を実施するか、必要に応じて主治医及び認定調査員に照会した上で基本調査の結果の一部修正が必要と認められる場合には、調査結果の一部修正を行う。なお、調査結果の一部修正を行う場合には、「要介護状態区分の変更等の際に勘案しない事項について」によるものとする。
 なお、再調査後の審査判定は、原則として前回と同一の認定審査会において審査判定行うこととする。
 また、第二号被保険者の審査判定にあたっては、主治医意見書の記載内容に基づき、要介護状態又は要支援状態の原因である障害が特定疾病によって生じていることを別途通知する「特定疾病にかかる判断基準」に照らして確認する。なお、主治医意見書を記載した医師が当該診断基準を直接用いていない場合は、主治医意見書記載事項を診断基準に当てはめた上で、特定疾病に該当しているかどうかにつき確認する。
 次に、一次判定の結果(基本調査の結果の一部を修正した場合には、一次判定用ソフトウエアを用いて再度一次判定を行うなどにより得られた一次判定の結果)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で、介護の手間に係る審査判定を行う。特に認定調査員に対し、介護が不足している等の対象者の具体的な状況について特記事項に記載するよう徹底していることから認定審査会においても当該情報を積極的に勘案し審査判定を行う。
 認定審査会での個別の審査判定において、特記事項及び主治医意見書の内容から、通常の例に比べてより長い(短い)時間を介護に要すると判断される場合には、一次判定の結果を変更する。介護の手間に係る審査判定において要介護認定等基準時間が三十二分以上五十分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)又はこれに相当すると認められる状態と判定した場合には、認定審査会資料に示された「認知機能・状態の安定性の評価結果」を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で、「予防給付の適切な利用が見込まれない状態像について」を参照して、状態の維持・改善可能性に係る審査判定を行い、要介護1又は要支援2のいずれの要介護状態等区分に該当するかについて、判定を行う。

 状態の維持・改善可能性に係る審査判定に当たっては、「要介護状態等区分の変更等の際に勘案しない事項について」によるものとする。状態の維持・改善可能性に係る審査判定において要介護1と判定した場合には、「予防給付の適切な利用が見込まれない状態像について」に示された。いずれの状態像に該当するか確定する。

3) 認定審査会が付する意見

 認定審査会が必要に応じて付する意見について特に留意すべき点は以下のとおりである。

(1)認定の有効期間を定める場合の留意事項

 認定審査会が認定の有効期間について意見を述べる場合は、「現在の状況がどの程度継続するか」との観点から以下の考え方を基本に認定の有効期間についての検討を行う。

認定の有効期間を原則より短く定める場合
  • 状態の維持・改善可能性に係る審査判定において要介護1と判定した者であって、「予防給付の適切な利用が見込まれない状態像」のうち、「疾病や外傷等により、心身の状態が安定していない状態」に該当するとされた者等、身体上または精神上の生活機能低下の程度が短期間に変動しやすい状態にあると考えられる場合
  • 施設から在宅、在宅から施設に変わる等、置かれている環境が大きく変化する場合など、審査判定時の状況が変化しうる可能性があると考えられる場合
  • その他、認定審査会が特に必要と認める場合
認定の有効期間を原則より長く定める場合
  • 身体上または精神上の生活機能低下の程度が安定していると考えられる場合
  • 同一の施設に長期間入所しており、かつ長期間にわたり要介護状態区分に変化がない場合等、審査判定時の状況が、長期間にわたって変化しないと考えられる場合
    (重度の要介護状態にある場合を基本とするが、個々の事例ごとに原則より長期間状態が継続すると見込まれる場合を判断する)
  • その他、認定審査会が特に必要と認める場合

(2)サービス種類の指定を行う場合の留意事項

 市町村は、被保険者の要介護状態の軽減又は悪化を防止するため、特に療養上必要があるとして認定審査会の意見が付された場合には、それに基づき、サービス種類の指定を行うことができることとしているが、サービス種類を指定することにより、指定されたサービス以外のサービスは利用できないことから、申請者の状況について具体的に検討のうえ、種類を指定する必要がある。特に、認定調査において「介助されていない」を選択されたが、本来は介助の必要性が認められるときは、適切なケアプラン作成に資するため、積極的に必要なサービスについての意見を付することとする。なお、種類の指定にあたっては、「通所リハビリテーションを含む居宅サービス」等、複数のサービスを組み合わせての指定を行うことも可能である点に留意する。

4) 審査及び判定にあたっての留意事項

(1)概況調査等の取り扱いについて

 概況調査及び過去に用いた審査判定資料については、認定審査会が当該審査対象者の状態を把握するために参照することはさしつかえないが、審査判定の際の直接的な資料としては用いない。なお、概況調査の結果等を参照した場合であっても、7 2)の規定に基づいて、一次判定により示された要介護状態等区分の結果及び認知機能・状態の安定性の評価結果を変更することとした場合には、「要介護状態等区分の変更等の際に勘案しない事項について」によるものとする。

(2)認知機能・状態の安定性の評価結果の取扱いについて

 認定審査会資料のうち「認知機能・状態の安定性の評価結果」は、介護の手間に係る審査判定において要介護認定等基準時間が三十二分以上五十分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)又はこれに相当すると認められる状態と判定された者に対する状態の維持・改善可能性に係る審査判定においてのみ用い、介護の手間に係る審査判定において「認知機能・状態の安定性の評価結果」を用いることはできない。

(3)参考指標の取扱いについて

 別途通知する参考指標を用いて判定の妥当性を検証することは差し支えない。なお、別途通知するまでは従前の参考指標を用いて検証を行っても差し支えない。

(4)委員が審査判定に加われない場合について

 市町村は、審査判定を行う合議体に審査対象者が入院もしくは入所し、または介護サービスを受けている施設等に所属する委員が含まれないように、審査判定を行う合議体の調整に努める。審査対象者が入所等をしている施設等に所属する者が、当該合議体に委員として出 席している場合には、当該審査対象者の審査及び判定に限って、当該委員は判定に加わることができない。ただし、当該審査対象者の状況等について意見等を述べることは差し支えない。

(5)認定審査会への委員及び事務局員以外の参加について

 審査判定にあたって、必要に応じて、審査対象者及びその家族、主治医、認定調査員及びその他の専門家の意見を聞くことができる。

(6)認定審査会の公開について

 認定審査会は、第三者に対して原則非公開とする。

(7)記録の保存について

 審査判定に用いた記録の保存方法等については、必要に応じて各市町村ごとにその取り扱いを定める。

(8)国への報告について

 別途設置する認定支援ネットワークシステムを用いて、審査判定があった日の翌月の10日までに別途定める事項を国に報告する。

この記事に関するお問い合わせ先

益田地区広域市町村圏事務組合
〒698-0024 島根県益田市駅前町17番1号 益田駅前ビルEAGA2階
電話番号:0856-31-0226
ファックス:0856-31-0315

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