清源寺の閻魔堂を調査させていただきました
美都町都茂の曹洞宗清源寺の境内には、立派な閻魔堂があります。
平成29年3月27日月曜日に、この閻魔堂の調査をさせていただきましたので、その成果について報告いたします。
調査の指導をいただいたのは、山口県立大学名誉教授の國守進(くにもり・すすむ)先生です。近年、閻魔堂の研究を進めていらっしゃいます。
亡者の生前の行いを裁くとされる閻魔様ですが、実際には閻魔様含め、十人の王が初七日から始まって、三回忌までの間に亡者の罪を裁きます。このため、十王信仰と呼ばれます。
清源寺の閻魔堂の内部は次の写真のようになっています。
便宜的に番号を振りました。
真ん中の一番高いところにいらっしゃるのが、閻魔様(1)です。他の像と比べても一回り大きく作られています。
台座には「施主/永本太郎右衛門/奉造立十王尊/石工/石州銀山御料福光/坪内平七郎利忠」と銘文があり、施主と石工がわかり、この点も貴重です。
(2)~(11)が他の十王様になりますが、そうすると閻魔様を含めて十人の王なので、一人多いことになります。いずれか一~二体が、亡者の罪状を読み上げ、判決文を記録するという「司命」(しめい)と「司録」(しろく)なのかもしれません。下の写真の像(4)は本を持っていますので、その可能性が高いです。
下の写真の像(12)は亡者の衣類を剥ぎ取るという、「奪衣婆」(だつえば)の像です。そのイメージとは裏腹に穏やかな容貌をしていますが、それは「奪衣婆」が乳母と結びついて信仰の対象となったためだそうです。
鬼卒の像(13)です。
下の写真の奥にあるのは、亡者の生前の行いを映し出すという「浄玻璃鏡」(14)です。
そして、手前にあるのは、「檀拏幢」(だんだとう)と呼ばれるもの(15)で、右側の女性の頭は亡者の生前の善い行いを、左側の男性の頭は悪い行いを調べて閻魔様に知らせるというものです。全国的にも希少なものだそうです。杖の形をしている場合があり、その場合は「人頭杖」と呼ばれます。
いずれも丁寧に作られており、また揃っていることから、貴重なものだということです。このほか、昔の写真には亡者の罪の重さをはかる「業の天秤」も映っていましたが、今回の調査ではみあたりませんでした。これも残っていればたいへん貴重だということです。
調査後に、その概要を解説していただきました。
また、最後に清源寺のご住職にお祓いをしていただきました。
調査・解説いただいた國守先生、調査をお許しいただいた清源寺のご住職にお礼申し上げます。
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更新日:2022年01月14日