令和7年度施政方針

更新日:2025年02月26日

益田市長が施政方針を述べている様子の写真

 第569回益田市議会定例会の開会にあたり、令和7年度の施政方針を申し述べ、市民の皆様並びに市議会議員各位のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。

はじめに

 昨今の地方行政を取り巻く状況については、国内の多くの地方で人口減少と少子高齢化により、様々な分野において担い手不足が顕在化しており、また、全国的な傾向として自然災害の頻発化と激甚化が顕著であり、さらには地球全体の気温も年々上昇するなど、総じて深刻の度を増していると言っても過言ではありません。

 一方で、本市における直近の状況及び見通しについては、明るい兆しが数多くあることも事実です。
 例えば、高津川が清流日本一に返り咲いたこと、「第31回全国山城サミット益田大会」が事前の予想を上回る多くの来場者を得たこと、萩・石見空港の東京線2往復運航継続と大阪線運航期間拡大が決定したこと、「益田アムスメロン」の地理的表示(GI)保護制度登録が実現したことなどは、関係者の長年の努力の成果といえます。

 また、友好交流都市である中国寧波市への公式訪問を通じて一層の親善促進の意思を相互に確認することができ、益田市観光協会が川崎市観光協会及び石垣市観光交流協会と連携協定を締結したことで、新たな交流の可能性が生まれました。

 さらには、当地域における観光地域づくり法人(DMO)である「一般社団法人ますだプライドクリエーション」や益田川左岸南部地区土地区画整理事業の実施主体となる組合が設立され、山陰道三隅・益田道路と都市計画道路元町人麿線高津工区については、令和7年度中に開通する見通しとなっており、本市発展の潜在要素が更に引き出されるものと期待するところです。

令和7年度の重点方針

 以上の情勢を踏まえ、令和7年度の市政運営にあたっては、「地域の潜在力を活かした持続可能な発展」を目指すこととし、以下の4点を重点方針とします。

 1点目は、「中山間地域振興と交通確保」です。担い手不足が顕著な中山間地域における生活機能の維持に向け、自助・共助・公助の最適バランスを追求するとともに、官民連携及び近隣自治体等との連携により公共交通の維持・確保を図ってまいります。

 2点目は、「観光と交流の更なる推進」です。本市の歴史・文化・産業等の資源、海外からの観光客の増加や大阪・関西万博の開催という好機、及び先に述べた機運の高まりを活かし、観光と交流に関する取組を積極的に講じてまいります。

 3点目は、「地球温暖化への対応」です。脱炭素社会への移行のため、再生可能エネルギー由来の電力の活用を促進するとともに、熱中症予防の観点も踏まえ、適切な冷暖房使用とクールビズ・ウォームビズの通年化を一層推進します。

 4点目は、「益田市型中高一貫教育の推進」です。県内高等教育機関や市内高等学校などと連携し、学力育成と高等学校卒業後の選択肢の充実を図ることで、より魅力的な教育環境の実現を目指します。

 なお、後ほど提案する令和7年度当初予算の編成にあたっては、「第6次益田市総合振興計画」におけるまちの将来像「ひとが育ち 輝くまち 益田」の実現を目指す一方で、物価や人件費の高騰など歳出増の要因がかつてないほど顕著であることを念頭に置きながら、それぞれの事業・取組を精査したところです。

令和7年度の主要施策

 令和7年度に取り組む主要な施策について、「第6次益田市総合振興計画」における7つの基本目標に沿って、新たな事業を中心に申し上げます。

1 子育てにやさしく、誰もが健やかに暮らせるまち

 はじめに、子育てにやさしく、誰もが健やかに暮らせるまちについてです。

 「第4期益田市地域福祉計画」に基づき、誰もが住み慣れた地域でいつまでも自分らしく生活できる、地域共生社会の実現に向け、福祉施策を推進します。

 福祉環境部内に「総合支援課」を新設し、こども・障がい者・高齢者・生活困窮者といった、従来の分野別の支援では十分な対応が難しい複雑化した課題を抱える人や世帯に対し、既存の取組も活かした重層的な相談支援を行ってまいります。
 また、令和6年5月24日に締結した学校法人美作学園美作大学との連携協定に基づき、地域福祉を担う人材の育成と確保に向けた相互協力を行います。
 さらに、令和7年3月に制定予定の「益田市犯罪被害者等支援条例」に基づき、犯罪被害者等の直接的・二次的な被害に対する迅速かつ切れ目のない支援を警察などの関係機関と連携して行うとともに、犯罪被害者等を社会全体で支えるための啓発活動を実施します。

 こども施策については、全てのこどもの健やかな成長を社会全体で後押しする「こどもまんなか社会」の実現を目指し、令和7年3月に策定予定の「益田市こども計画」に基づく取組を実施します。

 子育て支援については、「小規模多機能・放課後児童支援事業」や「放課後児童健全育成事業」等により、放課後等にこどもが安心して過ごせる場所を確保することで、保護者が安心して仕事と子育てを両立できる環境を維持するとともに、運営主体の法人化などにより、事業の一層の安定化を進めてまいります。
 また、児童虐待やヤングケアラーといった、支援を必要とする事案の早期把握に努めるとともに、不安や課題を抱える家庭に対し、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行ってまいります。
 さらには、新たに、言葉の理解力や社会性が高まる5歳児を対象に心身の発達を確認する健康診査を行い、就学期前の適切な支援につなげるなど、幼児の健康保持・増進を図ります。
 このほか、母子手帳アプリ「母子モ・ますだ」の利用者に対する満足度調査を通じて利便性向上と周知啓発を図るほか、既存事業における申請手続についても改善を検討します。加えて医療保険が適用される不妊治療に対する助成制度を拡充します。

 高齢者福祉については、介護人材の入門的研修や「益田市介護人材確保対策ネットワーク会議」の開催により、引き続き人材の確保・定着を図ります。

 障がい者福祉については、誰もが住み慣れた地域で必要なサービスを受けながら、自分らしく生活を送ることができるよう、「安心いきいきプラン」に基づく取組を進めます。

 健康づくりについては、「第2次益田市健康増進計画(第2次健康ますだ市21計画)」に基づくこれまでの取組について市民アンケートを実施し、計画の中間評価と見直しを行うとともに、引き続き「健康づくり市民運動推進事業」などに取り組みます。

 地域医療については、引き続き「公的病院支援事業」「休日応急診療事業」「地域医療維持・継続等支援事業」「ドクターサポート推進事業」等により、医療機関との連携を更に深めながら、医療従事者の確保を図り、地域医療を支えるための取組を継続して実施します。

 「益田市差別のない人権尊重の社会づくり条例」が令和7年4月に施行となることから、条例の趣旨を市民に周知する記念事業を実施するとともに、人権に関する教育と啓発を進めてまいります。
 また、男女共同参画社会の実現に向け、近年の社会情勢や令和6年度の市民意識調査の結果を踏まえつつ、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の趣旨も盛り込んだ「第5次益田市男女共同参画計画」を策定するとともに、必要な施策を実施します。

2 ふるさとを想う心にあふれた人が育つまち

 次に、ふるさとを想う心にあふれた人が育つまちについてです。

 教育振興のための重点施策に関しては、私と教育委員会が総合教育会議において協議・調整を行っており、各施策についても緊密な意思疎通による連携の下、実施することとしております。
 令和7年度においては、本市教育の目指す理念や方向を示す「教育に関する大綱」が、策定から10年経過することから、総合教育会議において改定に向けた議論を進めてまいります。
 また、教育委員会において、国の「第4期教育振興基本計画」と、島根県教育委員会において策定中の「しまね教育振興ビジョン」を踏まえ、「益田市教育ビジョン」の改定に取り組むこととしています。

 未来の担い手育成については、「益田市の未来を担うひとづくり計画」に基づき、「対話プラス」や「学校を核とした地域づくり」などを通じて、多様な価値観がふれあう場を創出し、引き続きライフキャリア教育を積極的に展開してまいります。

 益田市型中高一貫教育については、市内高校魅力化に対する支援を継続するとともに、島根大学、島根県立大学及び松江工業高等専門学校等との連携による「算数・数学パワーアップ教室」や、「ドリカム教室」として実施する「中高連携学力育成推進事業」の一層の充実を図り、児童・生徒の自ら学びに向かう意識の醸成に取り組みます。

 「新しい学びのカタチ」の取組において、小・中学校の各児童・生徒に貸与している端末機器については、島根県教育委員会の主導する共同調達に参加し、補助金を活用して更新するとともに、令和6年度から市内すべての小・中学校で取り組んでいる「『気づきと対話』のある授業づくり推進事業」とも連携させ、有効に活用してまいります。

 学校給食については、昨今の物価高騰などの影響を受けた給食費の改定に伴い、増額分の一部を市が負担する激変緩和策を実施するとともに、地産地消を推進し、農業や生産者への親近感を醸成するため、地元食材の提供を引き続き支援します。

 「益田市奨学金」については、貸付金一部返還免除制度を継続するとともに、新たに全額免除制度を創設することで、若者の地元定住と市内就職につなげてまいります。

 戸田小学校については、校舎の耐震性が十分でないため、高津中学校と統合する小野中学校の校舎を部分的に改修し、令和8年4月の移転に向け、準備を進めます。

 本市出身の囲碁棋士であり名誉市民でもある本因坊薫和こと、岩本薫の功績を称えるとともに、次世代を担う若手棋士の育成を目的とした棋戦「岩本薫記念益田杯」の決勝戦を本市に誘致することで、本市の魅力を広く発信するとともに、交流人口の拡大につなげます。

 令和7年4月26日から開催されるグラントワ開館20周年記念企画展「石見の祈りと美 ~未来へつなぐ中世の宝~」にあわせ、益田市立歴史文化交流館「れきしーな」における企画展や、益田の歴史文化を活かした観光拠点づくり実行委員会等との連携による関連企画を実施し、市民の歴史文化に対する理解と関心、地域への誇りの更なる醸成につなげてまいります。

 2030年に島根県で開催予定の「第84回国民スポーツ大会」及び「第29回全国障害者スポーツ大会」に向け、中央競技団体の指摘事項等を踏まえた施設整備の基本的な考えをまとめるとともに、効果的で効率的な大会運営に向け、運営組織の設立準備にも着手してまいります。

3 産業・観光振興による活力のあるまち

 次に、産業・観光振興による活力のあるまちについてです。

 農業については、令和6年4月に策定した「第2次ますだ食と農の基本計画」に基づき、生産振興等に努めるとともに、農業の担い手確保や育成、農業施設の整備、鳥獣被害対策などに取り組みます。
 本市の特産品のひとつである「益田アムスメロン」が、令和7年1月30日に地理的表示(GI)保護制度登録を受けたことから、これを本市の農産物全体の認知度向上や販路拡大にもつなげていくよう取り組んでまいります。
 また、これまでの「人・農地プラン」に代わり、将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」を令和7年3月に策定予定であることから、これと整合するよう「益田農業振興地域整備計画」の見直しを行ってまいります。
 有機農業については、引き続き生産農家や組織への支援を行うとともに、益田市堆肥センターの活用を推進してまいります。

 林業については、森林環境譲与税を活用し、「広葉樹活用拡大事業」を実施するとともに、木育や森林環境教育の支援、木工・林業体験を通した姉妹都市や交流都市等との相互連携を進めます。

 水産業については、安定した漁場の確保と生産性の向上を図るとともに、「漁港施設・海岸保全施設点検・個別施設計画」に基づき、施設の適切な保全を行います。

 商工業については、製造業やIT産業の担い手となる理系人材の育成に向け、島根大学及び松江工業高等専門学校と連携し、児童・生徒の興味関心を喚起する取組を行うとともに、地元企業との関係構築を支援してまいります。
 また、「COMMUNITY OFFICE NALU」における新規創業のための無料相談窓口や、「新事業チャレンジサポート補助金」による支援を継続します。
 さらに、令和7年度からは、新たにIT人材の育成環境の整備とIT産業の集積を目指し、「デジタル産業振興事業」に取り組んでまいります。

 観光振興については、「一般社団法人ますだプライドクリエーション」と連携し、地域の魅力を効果的に発信することで更なる誘客を進め、地域資源を活かした消費拡大を図るとともに、産業の活性化につなげてまいります。

 中世益田の日本遺産については、令和8年度の認定継続審査に向け、「日本遺産を通じた地域活性化計画」に基づき、一層の事業推進を図るとともに、課題を整理し、新たな活性化計画を策定します。また、「益田の歴史文化を活かした観光拠点づくり実行委員会」等と協働し、益田市立歴史文化交流館「れきしーな」を拠点としたまち歩きツアーや商品開発を実施します。

 石見神楽の振興については、「一般社団法人MASUDAカグラボ」の「地域再生大賞」優秀賞受賞により機運が高まっており、大阪・関西万博の「LOCAL JAPAN展」に出演する予定であることから、島根県、圏域自治体、関係団体等と連携して誘客を図るとともに、「石見神楽を活用した観光振興・次世代育成プロジェクト」に取り組んでまいります。

 自転車によるまちづくりについては、関係団体と一体となり、令和7年3月に策定予定の「第2次益田市自転車活用推進計画」に基づく取組を推進してまいります。

 姉妹都市である大阪府高槻市、文化・スポーツ等を通じた交流都市である神奈川県川崎市、空港で結ぶ友好都市である大阪府豊中市などとの交流活動を継続し、交流人口、関係人口の拡大を図ってまいります。
 また、令和6年12月に私を団長とする代表団による訪問により、相互交流が再開した中国寧波市については、大阪・関西万博の中国パビリオンにおける寧波市展の開幕式に出席し、引き続き友好関係を深めてまいります。アイルランドについては、同国大使館や大阪・関西万博のアイルランドパビリオンを訪問するなど、交流を進めてまいります。

4 ひと・もの・情報をつなぐネットワークが整備されたまち

 次に、ひと・もの・情報をつなぐネットワークが整備されたまちについてです。

 萩・石見空港については、東京線は国土交通省の「羽田空港発着枠政策コンテスト」による1枠を加えた2往復運航が令和11年3月24日まで継続され、また、大阪線は令和7年度は8月8日から14日までの7日間運航されることとなりました。ただし、東京線については毎年取組の進捗状況についてモニタリングが行われるなど、両路線の継続は、今後の利用実績に懸かるところが大きく、引き続き全日本空輸株式会社、島根県、萩・石見空港利用拡大促進協議会を構成する利用圏域市町、経済団体及び関係者と一体となり利用促進に取り組んでまいります。

 JR山陰本線及び山口線の維持・確保に向けては、沿線自治体等で組織する「島根県鉄道整備連絡調整協議会」「山陰本線(下関~益田間)利用促進協議会」「山口線利用促進協議会」に引き続き参画し、関係機関と一体となった利用促進に努めてまいります。

 持続可能な地域公共交通の維持・確保に向けて、利用状況とニーズ及び利用される地域住民の意見等を十分に踏まえ、引き続き、全ての当事者の理解と賛同が得られるよう最大限努めながら、対応を検討してまいります。

 なお、これら交通対策全般については、政策企画局内に「交通対策課」を新設し、包括的に取り組んでまいります。

 山陰道については、三隅・益田道路がいよいよ令和7年度中に開通する見通しであることから、様々な分野において高速道路の整備効果を発揮させる取組を促進してまいります。また、事業中区間である益田道路(久城~高津間)、益田西道路、益田・田万川道路の整備促進及び一般国道9号の神田町~津和野町枕瀬間における事前通行規制区間の抜本的対策の実施に向け、引き続き関係機関と連携した要望活動を行います。
 さらに、長年の懸案であるグリーンライン90の全線整備、及び高津工区については令和7年度開通見通しであり、吉田工区については事業着手となった都市計画道路元町人麿線の早期整備に向け、それぞれの地元同盟会と連携し、島根県への働きかけを行ってまいります。

 市道については、こどもや高齢者等の交通弱者をはじめとする市民の通行の安全確保のため、通学路等、緊急性の高い箇所から、拡幅、歩道設置等の改良及び橋梁等道路施設の修繕を実施します。

 老朽化と安全性の低下に対応した効率的・効果的な維持修繕が全国的な課題となっている社会インフラについては、令和7年10月に本市で開催される「インフラメンテナンス市区町村長会議」の第4回中国ブロック総会において、「予防保全への転換」や「将来の担い手育成」に関する意見交換と提言を行ってまいります。

 地域情報通信基盤については、業務の簡素化・効率化を図っていくことで、通信容量の拡大や技術進歩に対応し、安定的なサービス提供が継続できるよう、民間移行を進めてまいります。

5 安全で快適な環境で暮らせるまち

 次に、安全で快適な環境で暮らせるまちについてです。

 益田川左岸南部地区土地区画整理事業の円滑な事業進捗に向け、実施主体である組合に対する技術的支援に加え、都市計画道路中吉田中須線と都市計画公園中吉田公園の整備についても計画的に進めてまいります。
 また、「益田市公園施設長寿命化計画」に基づき、匹見中央公園遊具施設などの改修を引き続き進めます。
 さらには、地籍調査については、公共事業や防災に関連する箇所を優先しながら着実に実施いたします。

 空き家対策については、「益田市空家等対策計画」に基づき、危険または利活用が困難な空き家の除却を引き続き支援するとともに、空き家問題に関する相談や啓発活動を引き続き進めてまいります。

 市営住宅については、引き続き断熱化や外壁改修等のストック改善工事を行うとともに、老朽施設の除却も進めます。

 脱炭素社会への移行については、公共施設の照明の更なるLED化及び令和6年11月策定の「益田市公用車への次世代自動車導入方針」に基づく公用車の次世代自動車への切り換えを進めるとともに、令和6年5月に益田商工会議所及びTerra Charge株式会社と締結した「地域におけるカーボンニュートラルの推進に関する連携協定」に基づき、EV充電スタンド設置の取組を民間の施設へも拡げてまいります。また、クールビズ・ウォームビズの通年化を推進し、冷暖房の適切な使用につなげてまいります。

 飼い主のいない猫の不妊・去勢手術の費用の一部を補助する制度を創設し、飼い主のいない猫の繁殖の抑制と猫に起因する生活環境被害の軽減を図ります。

 水道事業については、「益田市新水道ビジョン」に基づき、緊急度・優先度の高い水道施設や管路の耐震化・更新を行い、安定的かつ強靭な水道水供給体制の維持を図るとともに、健全な事業経営に努めます。

 汚水処理対策については、引き続き、「効率的汚水処理整備計画(アクションプラン)」に基づき、中心市街地における公共下水道の汚水管路整備を進めるとともに、既存の農業集落排水施設の機能維持を図る一方、公共汚水処理区域外においては、合併処理浄化槽の設置に対する支援を行い、汚水処理人口普及率の向上を図ります。

6 人と人がつながり、支え合うまち

 次に、人と人がつながり、支え合うまちについてです。

 「益田市協働のまちづくり推進条例」及び「益田市中山間地域振興基本条例」に基づき、自助・共助・公助の最適バランスを追求した、持続可能な中山間地域の将来像を示す、「(仮称)益田市中山間地域振興基本計画」の策定を、令和7年9月を目途に進めるとともに、これに基づく取組を実施してまいります。

 移住・定住促進については、空き家バンク登録物件の改修費用に対する助成を拡充するとともに、県外在住の市内出身学生を対象に、市内就職促進に向けて実施してきた「益田市版『ツナガル』事業」により、これまで蓄積してきた高卒生や地元企業とのつながりを活かし、新たに「若者還流・定着推進事業」を実施することで、若者の市内就職やUターンの増加につなげてまいります。

 令和7年5月に国土交通省中国地方整備局、島根県及び流域3市町において「高津川総合水防演習」を共同開催し、防災知識の普及、防災意識の向上、災害対処能力の更なる向上を図ってまいります。

 消防団については、令和6年7月に供用開始となった益田広域消防本部庁舎の消防団棟や訓練塔において常備消防との連携訓練等を実施し、災害対応能力の向上を図るとともに、国や県と連携した広報及び勧誘により、団員の確保を図ります。
 また、消防車両や消防水利施設については、年次計画に基づき更新、整備を行います。

7 健全で開かれた行財政運営が行われるまち

 最後に、健全で開かれた行財政運営が行われるまちについてです。

 本市のまちづくりの最上位計画である「第6次益田市総合振興計画」については、令和7年度末に前期基本計画期間が終了することから、実施施策の効果検証を行い、「後期基本計画」の策定及び「第2期まち・ひと・しごと創生 益田市総合戦略」の改定作業を進めます。

 本市は広島県広島市と経済面や生活面で結びつきが強いことから、令和7年度から、連携中枢都市圏構想に基づく「広島広域都市圏」に加入し、圏域内自治体と連携し、地域活性化や産業・経済の活力増進などを目的とした取組を進めてまいります。

 広報・広聴の一元化と効率化を図るため、政策企画課広報係の担務を秘書課に移管し、「秘書広報課」に改称した上で「広報広聴室」を新設します。
 広報については、施策の周知のみならず、本市の魅力の発信による移住・定住の促進や災害時の通信手段の確保も図ることとし、従来の媒体に加え、「市LINE公式アカウント」、YouTubeの「市公式動画サイト」、インスタグラムなどのSNSも積極的に活用してまいります。
 また、「市長と語り合う会」を見直し、各部局の主要施策を説明し、市民と活発に意見交換を行う「市政懇談会」を開催するとともに、「市長の訪問座談会」「市長とランチミーティング」「市長の“おじゃまします”」などの広聴の手段をこれまで以上に積極的に周知し、活用を促進してまいります。

 引き続き、歳入確保と産業振興を図るため、ふるさとづくり寄附金の返礼品の充実に努めるとともに、官民連携による地方創生を推進するため、企業に対し地域貢献度の高い事業を提示し、地方創生応援税制寄附金を募ってまいります。

 自治体DXについては、マイナンバーカードを用いた行政手続のオンライン化等により、引き続き市民の利便性向上と内部業務の効率化を推進します。
 また、デジタル技術の恩恵を地域社会全体にもたらすため、条例や規則等に含まれるアナログ規制の点検・見直しを進めてまいります。
 このほか、基幹業務システムについては、国が基準を示す仕様に基づき統一・標準化を行った上で、令和7年度中にガバメントクラウド基盤へ移行し、行政運営の簡素化・効率化を図ってまいります。

 内部統制制度については、検証結果を踏まえ、全庁に共通する財務等の事務処理に対して重点的に実施し、制度の充実と職員への浸透を図り、事務執行の一層の適正化につなげます。また、職員研修の継続的な実施により、資質向上を図ります。

おわりに

 35年ぶりの山陰出身の内閣総理大臣である石破茂首相は、令和7年1月24日の施政方針演説において、「地方創生2.0」を「令和の日本列島改造」と位置づけ、かつて国家や企業が主導した「強い日本」と「豊かな日本」に加え、これからは一人一人が主導する「楽しい日本」を目指すと表明しました。
 そして、そのための政策の第1の柱を「若者や女性にも選ばれる地方」とし、若者や女性が「楽しい」と思えるような新しい出会いや気づき、そこから生まれる夢や可能性が重要であるとしています。

 本市では、益田市二十歳の集いにおけるアンケート調査において「一度は益田以外の場所で暮らしたとしてもいつかは益田で暮らしたい」「益田には魅力的な大人が多い」と回答する若者の割合が、近年は高い水準で推移しており、また実際にハローワーク益田管内の高等学校卒業者の地元企業就職率が伸びてきているなど、就業や起業のためにUIターンした若い方々の意欲的な活動が様々な地域や分野で見られるようになっています。

 今後さらに本市が「若者や女性にも選ばれる地方」となるためにも、引き続き、市民の幸福の実現を最大の目的とし、「対話と協調」を重視する姿勢を堅持しながら、市政運営を積極的に進めてまいります。

 市民の皆様並びに市議会議員各位の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

政策企画局 政策企画課 広報係
〒698-8650 島根県益田市常盤町1番1号
電話番号:0856-31-0112
ファックス:0856-23-2456

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