令和6年度施政方針

更新日:2024年02月26日

益田市長が施政方針を述べている様子の写真

 第564回益田市議会定例会の開会にあたり、令和6年度の施政方針を申し述べ、市民の皆様並びに市議会議員各位のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。 

はじめに

 令和6年元日に発生した能登半島地震は、地震を始めとする自然災害の脅威と防災対策の重要性を改めて実感させるものでした。それはまた、すでに感染拡大から4年以上経過しながらいまだ完全には収束していない新型コロナウイルス感染症と同様、危機管理が地方行政においても最優先課題の一つであることを浮かび上がらせるものでした。

 また、世界気象機関によれば、令和5年7月は地球において観測史上もっとも暑い月となり、国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長が「地球沸騰化の時代が訪れた」と述べたように、地球全体の気温上昇は容赦なく進行しており、脱炭素社会への移行はまさに焦眉の急となっています。

 加えて、本市のような地方都市においては、人口減少と高齢化が加速し、中山間地域における活力維持が日を追うごとに困難となりつつあることから、市民サービスの向上と行政事務の効率化に加え、地域の将来を担う人材の育成と確保がより重要となっています。

 萩・石見空港も大きな岐路に立っています。東京線2往復運航をもたらしている羽田空港発着枠政策コンテストによる増便は、令和6年度末までとなっていますが、コロナ禍による需要減退からの回復が他の政策枠活用空港と比較して立ち遅れています。大阪線については、令和6年上期ダイヤにおいても5日間の夏季限定運航の継続が決定されましたが、利用実績の大幅な伸びがない限り再継続の見込みは極めて薄いものと認識しています。

 令和6年度の市政運営にあたっては、これらのような厳しい現状を踏まえつつ、迅速かつ適切な対応をとっていくことが必要であると考えております。

令和6年度の重点方針

 以上のことから、令和6年度においては以下の5点を重点方針とする考えです。

 1点目は、「災害対策の強化」です。地震災害に加え、本市が毎年のように直面する豪雨災害等のリスクについて、防災・減災の観点から、全庁的に状況と課題を共有し、必要となる体制の整備や備蓄の充実に努めることとします。

 2点目は、「地球温暖化への対応」です。これまでも庁舎内の電力を100パーセント再生可能エネルギー由来のものに転換してまいりましたが、引き続き脱炭素の取組を進めるとともに、環境を意識した冷暖房の使用や、熱中症予防の観点も踏まえたクールビズの徹底を図ります。

 3点目は、「中山間地域振興と交通維持」です。買い物弱者対策など中山間地域の生活維持に向け、自助・共助・公助の最適バランスを追求するとともに、官民連携及び近隣自治体等との連携により公共交通の維持・確保を図ってまいります。

 4点目は、「自治体DXの推進」です。令和5年度には、「おくやみ手続きサポートサービス」の運用開始や、市民サービス改善のための本庁舎1階フロアの大幅改修などを行いましたが、令和6年度においても、引き続き、「書かない窓口」のサービス提供範囲の拡大を進めてまいります。また、改革推進の基盤となる職員の意識向上も進めてまいります。

 5点目は、「益田市型中高一貫教育の推進」です。市内小・中学生がより意欲的に学びに向かう環境を提供することで、学力育成と高等学校卒業後の選択肢の充実を図るため、県内高等教育機関、市内高等学校などと連携した取組を更に進化させます。

 これら5つの重点方針に沿った事業の推進により、「持続可能な地球環境と地域社会に貢献できる新しい地方自治」の具現化を目指してまいります。

 後ほど提案する令和6年度当初予算は、以上のような考え方に基づき、「第6次益田市総合振興計画」において掲げるまちの将来像「ひとが育ち 輝くまち 益田」の実現を全ての事業・取組に共通する要素として念頭に置き、編成したところです。

令和6年度の主要施策

 令和6年度に取り組む主要な施策について、「第6次益田市総合振興計画」における7つの基本目標に沿って、新たな事業を中心に申し上げます。

1 子育てにやさしく、誰もが健やかに暮らせるまち

 はじめに、子育てにやさしく、誰もが健やかに暮らせるまちについてです。

 地域福祉については、令和5年3月に策定した「第4期益田市地域福祉計画」に基づき、複合化・複雑化した課題のある世帯への包括的な相談支援の充実を図るとともに、基本目標である「支え合えるひとづくり・地域づくり」を推進し、誰もが住み慣れた地域でいつまでも自分らしく生活できる、地域共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

 子ども施策に関しては、「児童の権利に関する条約」や「こども基本法」の理念に基づき、全ての子どもの健やかな成長を社会全体で後押しする「こどもまんなか社会」の実現に向け、国の「こども大綱」を勘案し、子どもや若者が、自らが主体者であることを意識できる施策の礎となる「(仮称)益田市こども計画」の策定を進めます。

 子育て支援については、幼児教育・保育施設を巡回し、保育士等への助言や指導等を行う「巡回支援指導事業」により、保育の質の向上を図るとともに、「放課後児童健全育成事業」や「小規模多機能・放課後児童支援事業」により、放課後や長期休業中などの子どもの居場所を確保し、保護者が安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりを進めてまいります。
 さらに、これまで中学3年生までを対象として実施していた児童医療費の助成については、令和6年7月から、対象を18歳まで拡大し、子育て世代の更なる負担軽減を進めてまいります。

 子育てに関する相談支援については、改正児童福祉法の施行に合わせ、母子保健を担う「子育て世代包括支援センター」及び児童福祉を担う「子ども家庭総合支援拠点」双方の機能を併せ持ち、子育て世帯に対する包括的な支援を行う「こども家庭センター」を令和6年4月に開設し、妊娠期から出産・子育て期まで切れ目のない伴走型相談支援をより効果的に行います。また、児童虐待の未然防止・早期発見のため、関係機関との連携に努めます。

 高齢者福祉については、加齢による慢性疾患及び社会的つながりの希薄化や認知機能の低下により、健康と要介護の中間段階であるフレイルの状態に陥ることを防ぐため、疾病予防と生活機能維持の両面での支援について、対象者を拡大します。また、支援が必要な人を早期に適切なサービス等につなげるため、医療や介護サービスなどを受けていない「健康状態不明者」の把握に努めます。
 また、介護人材確保のため、入門的研修の実施や、周辺業務等を担う人材を支援する「介護お助け隊」事業に加え、関係団体と連携し、人材確保に向けた検討・推進及び評価を行う「(仮称)益田市介護人材確保対策ネットワーク会議」を新たに設置します。

 障がい者福祉については、令和6年3月に改定予定の「安心いきいきプラン」に基づき、障がいのある人もない人も住み慣れた地域で必要なサービスを受けながら、自分らしく生活を送ることができる地域社会の実現を目指した取組を引き続き進めてまいります。
 また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の改正法が令和6年4月1日に施行され、事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されることから、コミュニティ活動団体等が所有・管理する施設に対し、バリアフリー化等の経費の一部を補助する制度を創設します。
 このほか、障がい等のある方々の移動手段の確保に向け、タクシー券の助成対象の範囲を拡大するとともに、交付枚数も拡充します。

 健康づくりについては、「健康ますだ市21推進協議会」を核とし、地域・関係機関と一体となって取り組むとともに、「スマート・ヘルスケア推進事業」を継続し、生活習慣病の予防と健康寿命の延伸を図ります。
 自死対策については、令和6年3月に策定予定の「第2次益田市自死対策総合計画」に基づく取組を引き続き進めてまいります。

 地域医療については、「公的病院支援事業」、「休日応急診療事業」等による病院支援や、「地域医療教育推進事業」、「ドクターサポート推進事業」、「地域医療維持・継続等支援事業」等により、積極的に医師確保に取り組むとともに、在宅療養生活の継続が可能となる区域の拡大と質の向上のため、条件不利地域への訪問診療に取り組む診療所等を支援する「訪問診療支援事業」を新たに実施します。

 また、ひきこもりの当事者やそのご家族に対するこれまでの相談事業に加え、居場所やネットワークづくり等の支援を充実させる「ひきこもり支援推進事業」に新たに取り組みます。

 「益田市人権・同和問題基本計画」に基づく取組を継続するとともに、「(仮称)人権尊重のまちづくり条例」を制定し、多様性を認め、支え合う、差別のない地域社会の実現を目指してまいります。
また、「第4次益田市男女共同参画計画」に基づき、様々な分野で誰もが性別に関わりなく平等に参画でき、その個性と能力を十分に発揮できる環境づくりの推進に継続して取り組んでまいります。

2 ふるさとを想う心にあふれた人が育つまち

 次に、ふるさとを想う心にあふれた人が育つまちについてです。

 益田市「教育に関する大綱」に基づき、総合教育会議を通じて、市長部局と教育委員会が教育の目標や施策の方針を共有し、連携を図りながら、教育・文化の振興に取り組みます。
 また、ひとづくりについては、「益田市未来の担い手育成コンソーシアム」の構成団体と連携するとともに、庁内においては、「益田市ひとづくり推進本部」において意思統一を図り、ライフキャリア教育を推進します。

 教育環境の充実については、これまで小学校のトイレを順次改修してきたところですが、令和6年度は中学校のトイレ改修に着手するとともに、老朽化した教具及び遊具の更新を引き続き計画的に実施してまいります。
 また、学校再編については、これまでの進捗状況や地域の実状に対応して、「今後の小中学校のあり方実現に向けた実施計画」の見直しを行うとともに、引き続き最適な教育環境づくりを進めます。

 教職員の働き方改革については、スクールサポートスタッフを増員し、教員が児童・生徒一人一人に向き合う時間の確保を図ります。また、全小中学校に留守番電話を導入するとともに、中学校部活動の地域移行についても、基本指針に基づき取組を進めてまいります。

 益田市型中高一貫教育については、島根大学及び松江工業高等専門学校との連携による算数・数学パワーアップ教室、及び学力育成と高等学校卒業後の選択肢の充実を図る中高連携学力育成推進事業を一層進めるとともに、市内高校魅力化に対する支援を継続します。

 老朽化の著しい公民館については、計画的に整備を進めてまいります。豊川公民館については、公民館と放課後児童クラブを併せて整備し、小学校等の公共施設との連携を図るとともに、連携協力協定を締結している島根県立大学とサテライトキャンパスとしての活用について協議を行います。また、西益田地区においては、施設全体のあり方について検討してまいります。
 益田市立雪舟の郷記念館については、文化面だけでなく、日本遺産関連の観光面の機能の充実も図るため、令和6年度から2年間休館し、施設の改修を行います。

 史跡中須東原遺跡については、令和2年に国の追加指定を受けた中須保育所跡地の公有化を行います。また、史跡益田氏城館跡については、引き続き三宅御土居跡の整備を推進します。
 このほか、令和6年11月に予定している「第31回全国山城サミット益田大会」の開催により、市民の歴史文化に対する理解と関心、地域への誇りの醸成につなげてまいります。

 2030年に島根県で開催予定の「第84回国民スポーツ大会」及び「第29回全国障害者スポーツ大会」に関係する準備のため、協働のひとづくり推進課内に「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会準備室」を設置します。また、令和5年度から実施している「サイクルスポーツ振興事業」については、市民が自転車に親しむ環境の充実を進めるとともに、関係機関とも連携し、自転車競技の人材育成を支援してまいります。

3 産業・観光振興による活力のあるまち

 次に、産業・観光振興による活力のあるまちについてです。

 農業については、令和6年3月に策定予定の「第2次ますだ食と農の基本計画」に基づき、農業者や関係機関と連携し、生産振興、農業の担い手確保や育成、農業施設の整備、鳥獣被害対策などに取り組みます。
 また、令和4年5月に公布された農業経営基盤強化促進法等の一部改正に基づき、「人・農地プラン」を見直し、将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」を令和7年3月に策定する予定であることから、農地の有効利用をはじめとする今後の農業のあり方について、地域の関係者との丁寧な協議を進めてまいります。
 さらに、令和4年12月に島根県・JAしまね・大田市以西の9市町と「有機野菜の産地づくりに関する連携協定」を締結した楽天農業株式会社に対し、借入可能な農地等の情報提供を行い、環境に配慮した持続可能な有機野菜の産地づくりを推進してまいります。

 林業については、森林環境譲与税を活用し、森林整備や担い手育成を効果的に進めるとともに、匹見産広葉樹活用モデル事業により、林業の6次産業化と木工や林業体験を通した都市間交流を進めます。

 水産業については、内水におけるアユの放流、海洋におけるヒラメやサザエの放流に対する支援を継続するとともに、「漁港施設・海岸保全施設点検・個別施設計画」に基づく施設整備を行います。

 商工業については、有効求人倍率が高止まりしており、人材確保が喫緊の課題となっていることから、ものづくり産業やIT産業の基盤となる理系人材の育成に向け、島根大学及び松江工業高等専門学校と連携し、児童・生徒の興味関心を喚起するとともに、地元企業との交流を深めてまいります。
 一方で、人材定着の基盤となる雇用の創出に向け、これまでの「新事業チャレンジサポート事業」を発展させ、新たに創業に関する勉強会の開催や相談なども行う「ローカルスタートアップ支援事業」を実施します。また、引き続き島根県信用保証協会と連携し、創業に係る信用保証料を補助するとともに、石見臨空ファクトリーパーク等への企業誘致について、島根県との緊密な連携を継続します。

 観光振興については、令和6年7月を目途に地域DMOの設立と観光庁への登録申請に向け準備を進めている益田市DMO設立協議会に対する支援を、引き続き関係者と連携して行ってまいります。
 また、入国制限の緩和や円安が追い風となり、訪日外国人数がコロナ禍以前の水準に回復しつつあることから、訪日インバウンド対策にも注力してまいります。

 中世益田の日本遺産については、令和8年度の認定継続審査に向けて、持続可能な取組や体制づくりが求められます。「益田の歴史文化を活かした観光拠点づくり実行委員会」等と協働し、「益田市立歴史文化交流館(れきしーな)」を拠点とした、まち歩きツアーや商品開発に取り組んでまいります。特に令和6年度は、「第31回全国山城サミット益田大会」が開催されることから、日本遺産を構成する七尾城跡など本市に点在する山城について情報発信します。

 石見神楽の振興については、島根県や石見地域の自治体と連携するとともに、「一般社団法人MASUDAカグラボ」を始めとする神楽団体等と一体となり、「石見神楽を活用した観光振興・次世代育成プロジェクト」を進めてまいります。

 自転車によるまちづくりについては、「益田市自転車活用推進計画」の計画期間が令和6年度末までとなっていることから、「益田市高津川かわまちづくり」計画や、「益田市自転車ネットワーク計画」を踏まえながら、次期計画の策定に取り組みます。

 国内の交流については、空港利活用との相乗効果も念頭に置きながら、姉妹都市である大阪府高槻市、文化・スポーツ等を通じた交流都市である神奈川県川崎市、空港で結ぶ友好都市である大阪府豊中市などと更なる交流促進に取り組みます。また、本市の誇る豊かな自然環境を活かした体験プログラムや、日本遺産等の歴史文化を活かした周遊プログラムなどを活用し、関係人口の拡大を図ります。
 国際交流については、中国寧波市に訪問団を派遣し、友好関係を深めてまいります。アイルランドとの友好交流については、提携先となる候補都市の選定を進めており、令和6年度中の協定書締結に向けた取組を進めてまいります。

4 ひと・もの・情報をつなぐネットワークが整備されたまち

 次に、ひと・もの・情報をつなぐネットワークが整備されたまちについてです。

 萩・石見空港については、現在、東京線は国土交通省羽田空港発着枠政策コンテストによる令和7年3月29日までの2往復運航であり、大阪線は8月10日から14日までの5日間の期間限定運航となっています。両路線とも今後の運航継続の可否は、令和6年度の利用実績に懸かるところが大きいことから、全日本空輸株式会社、島根県、萩・石見空港利用拡大促進協議会を構成する利用圏域市町、経済団体及び関係者と一体となって、イン対策・アウト対策の両面で、利用促進を図ってまいります。

 鉄道については、JR山陰本線及び山口線の維持・確保に向け、沿線自治体等で組織する「島根県鉄道整備連絡調整協議会」、「山陰本線(下関~益田間)利用促進協議会」、「山口線利用促進協議会」に引き続き参画し、関係機関と一体となった利用促進に努めてまいります。

 山陰道については、事業中区間である三隅・益田道路、益田道路(久城~高津間)、益田西道路、益田・田万川道路の早期整備に向け、また、一般国道9号については、事前通行規制区間となっている神田町~津和野町枕瀬間における抜本的対策に向け、引き続き関係機関と連携した要望活動を行います。
 さらに、グリーンライン90の全線整備、及び都市計画道路元町人麿線高津工区の早期完成と同吉田工区の整備着手に向け、引き続き地元同盟会と連携し島根県に働きかけてまいります。

 市道については、緊急性の高い箇所から維持補修を行うとともに、機能向上や歩行者の安全性向上に向けた改良工事を進めてまいります。また、令和6年度の運用開始に向けて構築中の「益田市道路維持管理サービスシステム」については、スマートフォンなどから道路等の異常箇所の位置や状況を24時間いつでも通報が可能となる「市民投稿システム」の搭載も予定していることから、通報者の負担軽減と、緊急時の迅速な対応につなげてまいります。
 このほか、自治会など地域愛護団体に委託していた市道・農林道・河川の除草作業については、対象範囲の広さや、作業者の高齢化等により持続困難な事例も現れつつあることから、単価や手続きを見直し、安全確保や環境美化意識の向上につなげてまいります。

 地域公共交通については、人口減少やライフスタイルの変化により利用者数の減少に加え、運転士不足も顕在化し、厳しい状況にあることから、連携のまちづくり推進課内に「地域交通対策室」を設置し、「益田市地域公共交通計画」に基づく施策等の効果的な実施に努めることとします。また、令和7年9月に策定予定の「(仮称)益田市中山間地域振興基本計画」との整合も図ってまいります。

 地域情報通信基盤については、情報通信技術の進歩に対応し、住民や企業のニーズに応じたサービスの提供が可能となるよう、通信容量の拡大や品質の向上及び将来の設備更新に備え、民間移行を進めてまいります。

5 安全で快適な環境で暮らせるまち

 次に、安全で快適な環境で暮らせるまちについてです。

益田川左岸南部地区土地区画整理事業については、実施主体となる組合の設立認可の手続中であり、円滑な事業推進に向け、継続的な支援を行ってまいります。
 あわせて、当該事業区域内において、通常時には賑わい創出の場として、災害時には一時避難所として活用する「都市計画公園中吉田公園」の整備についても、計画的に進めてまいります。
 また、「益田市公園施設長寿命化計画」に基づき、益田運動公園グリーン広場等の改修を進めます。

「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」により、3次元のデジタル地図である「3D都市モデル」を整備し、都市計画の高度化や土砂災害リスクの可視化を含め、都市計画に関する行政手続や業務の効率化を進めてまいります。

 空き家対策については、「益田市空家等対策計画」に基づく老朽危険空き家の除却に加え、新たに利活用が困難な老朽空き家の除却に対する支援を行うとともに、空き家問題に関する相談や啓発活動を進めてまいります。

 「令和6年能登半島地震」においては、特に木造住宅において、深刻な損壊が多発していることから、木造住宅の耐震化を促進するため、「益田市耐震改修促進計画」に基づく耐震診断と耐震補強工事等に対する補助を拡充します。

 地域住宅整備事業については、「益田市営住宅長寿命化計画」に基づき、住宅の断熱化や外壁改修等ストック改善工事を行うとともに、「益田市公共施設等総合管理計画」に基づき、老朽化した市営住宅の除却も進めます。

 地球温暖化対策については、地域におけるカーボンニュートラルの取組を加速させるため、再生可能エネルギーの導入・省エネルギー改修・電気自動車の普及拡大を図るほか、市民・企業の意識啓発にも取り組みます。
 また、令和5年度は市所有の建物の電力供給源について、リバースオークション方式による調達により100パーセント再生可能エネルギーとしてきたところですが、街路灯など電力を使用する他の施設についても、早期に再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、使用電力を100パーセント再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示す企業・自治体等が参加する「再エネ100宣言 RE Action」に参画し、先進的な事例や知見の活用に努めることとします。
 さらに、市が利用する車両を2030年までに可能な限り電気自動車等、環境負荷の低い次世代自動車に転換していく方針を令和6年度中に策定します。このほか、令和5年7月にTerra Motors株式会社(現Terra Charge株式会社)と締結したカーボンニュートラルに関する連携協定に基づき、公共施設へのEV充電スタンドの増設を行うとともに、市内経済団体等と連携し、民間施設への普及を促してまいります。

 沿岸部での磯焼けが問題となっていることから、漁業協同組合JFしまねと連携し、藻場の再生に向けた先端技術の実証事業を支援し、あわせて温室効果ガスの吸収につながる海洋生態系の保全を図ります。

 廃棄物処理対策については、令和6年3月に改定予定の「益田市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、基本理念である「ますだ循環型社会の形成」に向け、地域・事業者・行政が連携して取り組むことで、ごみ減量化や資源化など適正処理の更なる推進に努めます。

 水道事業については、「いつまでも安心と安定を」を基本理念とする「益田市新水道ビジョン」に基づき、緊急度・優先度の高い水道施設の耐震化・更新を行うとともに、健全な水道事業経営の持続に努めます。

 汚水処理対策については、引き続き中心市街地における公共下水道の汚水管路整備を進めるとともに、既存の農業集落排水施設の機能強化を図る一方、下水道処理区域外の地域においては、個人設置による合併処理浄化槽整備に対する支援を行い、汚水処理人口普及率の向上を図ります。

6 人と人がつながり、支え合うまち

 次に、人と人がつながり、支え合うまちについてです。

 「益田市中山間地域振興基本条例」に基づき、「(仮称)益田市中山間地域振興基本計画」を策定する予定としていることから、学識経験者や住民代表などで組織する、「益田市中山間地域振興基本計画審議会」を設置し、計画の素案について審議いただき、持続可能な地域社会の実現に向けた計画策定を進めてまいります。
 また、地域自治組織に対する人的・財政的支援を継続するとともに、より活発な活動につながる支援体制を模索してまいります。

 島根大学、島根県立大学及び大正大学との連携については、それぞれの協定に基づく調査研究や地域活性化のための提案を継続していただくことで、関係人口拡大にもつなげます。特に大正大学とは、令和6年1月16日に職員採用について「大学推薦選考」に関する覚書を締結したことから、意欲的な人材の確保を図ります。

 「新たな『移住・定住』推進プロジェクト事業」により、ライフキャリアを体現できるまちである本市の魅力を、特に子育て世代層に積極的に発信するとともに、それを体感できる場を創出し、移住・定住のきっかけとします。また、県外在住の市内出身学生を対象とする「益田市版『ツナガル』事業」により、SNSによる情報発信、東京・大阪における交流拠点の活用、就業体験とライフキャリア体験の機会を提供する「益田版インターンシップ」等を実施し、市内就職を促進してまいります。

 防災については、本市は「令和6年能登半島地震」の被災地と地理的・社会的共通点が少なくないことから、令和6年7月を目途に、事例に関する状況と課題を共有する公開の勉強会を開催します。
 また、弥栄断層帯を震源とする地震を想定した島根県総合防災訓練を共同開催することで、地域防災力の強化とともに、防災意識の高揚を図ってまいります。
 「益田市防災ハザードマップ」については、最新データに基づいて更新し、各戸及び主な公共施設等に配布します。
 また、自ら避難することが困難な避難行動要支援者のうち、高齢者及び障がい者等を対象とした個別避難計画の作成に継続して取り組みます。

 大雨時の浸水対策については、車載式の排水ポンプ機器等の導入により、内水排水の効率化、迅速化を図ってまいります。

 令和6年7月に新消防本部庁舎が供用開始となる予定であることから、新たな拠点のもと、災害対応能力の向上に努めるとともに、消防水利についても計画的に整備します。
 また、地域防災の要である消防団については、コロナ禍により開催されなかった益田市消防操法大会の開催や、島根県消防操法大会への参加に向けた支援や、各種イベント等における広報及び勧誘により、活動の充実と団員の確保を図ります。

7 健全で開かれた行財政運営が行われるまち

 最後に、健全で開かれた行財政運営が行われるまちについてです。

 地方税共同機構の「地方税お支払いサイト」の活用により、令和5年度から、固定資産税・軽自動車税について、クレジットカードやスマートフォンによる納税も可能としたところですが、更に普通徴収の市県民税及び国民健康保険税の納税も行えるようにし、公金納付の利便性を高めてまいります。

 広報については、令和5年2月に開設した「益田市LINE公式アカウント」がこの1年間で登録者数1,600人を超えるなど、情報発信ツールのひとつとして浸透してきていることから、通知情報を選択できるセグメント配信機能や、LINE公式アカウントを通じてより簡便に行政サービスにアクセスできる機能などを加え、充実を図ってまいります。
 また、市長と語り合う会については、従来形式での開催に加え、自治会長会議に替わる地区別懇談会を試行的に実施します。

 ふるさと寄附については、令和5年度から返礼品のメニューに加えた萩・石見空港マラソン全国大会の出走権に、更に宿泊や体験活動を組み合わせるなど、返礼品の充実に努めるとともに、効果的に情報発信し、歳入確保と産業振興を図ります。
 企業版ふるさと納税については、引き続き、企業に対し地域貢献度の高い事業を提示し、支援を働きかけることで、官民連携による地方創生の推進につなげてまいります。

 行財政改革については、包括連携協定を締結している日本郵便株式会社と連携し、近日中に、コンビニエンスストアと同様に各種証明書が取得できる「郵便局型キオスク端末」を、市内の3つの郵便局に中国地方で初めて設置し、市民の利便性向上につなげます。
 また、国の動向に沿って、マイナンバーカードを用いた行政手続のオンライン化も進めてまいります。
 さらに、「益田市自治体DX取組方針」に基づき、令和5年度中に実施する「書かない窓口」の範囲を拡大していくとともに、今後は「窓口改革から全庁改革へ」をテーマに、市民の利便性の更なる向上と内部業務の効率化を進めてまいります。
 このほか、令和7年度の完了を目標として、国が基準を示す仕様に基づき基幹業務システムの統一・標準化を行い、行政運営の簡素化・効率化を図ってまいります。

 内部統制制度については、令和5年度に行った評価報告に基づき、重大な不備に対する予防策・対応策の整備及び運用に加え、職員研修により、制度の充実・浸透や意識の醸成を図ってまいります。

 健全な財政運営に向けては、市債の早期償還を行うとともに、財政調整基金等の積立に努め、一層の健全化を進めてまいります。

おわりに

 冒頭において、直面する危機と課題を列挙しましたが、危機は適切な対応によって機会に転じ得るものであり、課題は進むべき方向を指し示すものでもあります。これまでの成果を礎としながら、状況の変化に機敏に対応し、一つ一つの施策を着実に実施することで、最大限の効果をあげ、本市の限りない発展の可能性を追求する考えです。
 また、市政運営の全般において、引き続き、市民の幸福の実現を最大の目的とし、「対話と協調」を重視する姿勢を堅持してまいります。

 市民の皆様並びに市議会議員各位の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

政策企画局 政策企画課 広報係
〒698-8650 島根県益田市常盤町1番1号
電話番号:0856-31-0112
ファックス:0856-23-2456

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