第566回益田市議会定例会 市長所信表明

更新日:2024年09月02日

益田市議会定例会にて市長が所信表明を行っている様子の写真

はじめに

 第566回益田市議会定例会の開会に際し、市長として4期目の市政運営に臨むにあたり、市民の皆様ならびに市議会議員各位のご理解とご協力を賜るべく、所信の一端を申し述べます。

 平成24年8月の市長就任以来、「市民の幸福の実現」を最大の目的とし、「対話と協調」を重視する姿勢を堅持しながら、本市の発展のため尽力してまいりました。先般の市長選挙において、市民の皆様から3期12年の施政に対する一定の評価と信任をいただいたものと受け止める一方、改めて職責の重さに身の引き締まる思いです。

 その反面、無投票となったことで、選挙を通じて私の考えをお伝えする場や市民の皆様のお声を伺う機会が結果的に少なかったことは事実です。

 近年、情報伝達手段として、新聞、テレビなどの旧来のメディアに加え、インスタグラムやYouTubeなど、インターネットを活用した新しいプラットフォームが普及しています。これらは、視覚や聴覚に直接訴えかけるだけでなく、速報性や双方向性に優れ、世論形成にも大きな影響力を持つようになったとされています。

 また、施策の周知だけでなく、本市の魅力を広く発信することによる移住・定住の促進や、災害時における通信手段の確保のためにも、広報の内容と手段の多様化は必要と考えられます。

 以上のことから、広報広聴についてはこれまで以上に工夫を凝らすことが求められており、また、そのことは、以下に述べる各施策の効果を最大化することにも資すると考えております。

災害への備え

 近年、我が国では、地震や豪雨による災害が各地で頻発し、毎年のように甚大な被害が発生しています。

 令和6年も、すでに多くの災害が発生しています。元日に起きた最大震度7の「令和6年能登半島地震」では、災害関連死も含め約300人もの人命が失われた上、住家被害は12万棟を超えました。7月9日から11日にかけて島根県東部を襲った大雨では、出雲市日御碕地区において市街地との唯一の連絡道路であった県道が崩落し、長らく孤立状態が続くなど、深刻な被害が生じています。

 また、8月8日に宮崎県日南市において震度6弱を観測した地震を受け、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を初めて発表しました。そして、これに伴う「巨大地震注意」の呼びかけが終了するまでの1週間、広い範囲で警戒と緊張が続きました。

 本市においても大規模災害が発生する可能性を否定できないことから、被害を軽減するための対策や避難所の体制強化、備蓄の充実や市民意識の啓発など、ハード・ソフトの両面から防災に努めます。

地球温暖化対策

 観測史上最も暑かったとされた令和5年の夏に続き、令和6年の夏もそれを上回るほどの酷暑となっており、地球温暖化防止対策の必要性、緊急性が更に高まっていることを実感します。

 これまでも、市が所有する公共施設の使用電力を100パーセント再生可能エネルギー由来のものとするなど、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量削減に努めてまいりましたが、今後は更に市内経済界とも連携し、電気自動車のための充電インフラの拡充を推進してまいります。

 また、令和6年5月から実施しているクールビズ・ウォームビズの通年化についても、更なる促進と普及に努めてまいります。

産業振興

 地域の持続的発展には、活気のある産業が不可欠です。

 農林水産業については、従事者の高齢化や後継者不足により生産力が低下しており、担い手の確保や生産性の向上が急務となっています。商工業については、市内の事業所数・従業員数ともに減少傾向が続く一方で、ハローワーク益田管内の有効求人倍率は、全国や県内と比較して高い状況にあります。

 また、近年はエネルギー、資材、原材料等の価格が高騰し、生産者や事業者にとって更に厳しい経営環境となっています。

 こうした状況に適切に対応し、事業者に対する支援を継続するとともに、新規担い手の確保と支援、起業サポート、企業誘致にも取り組んでまいります。

観光振興

 現在、益田市DMO設立協議会において、令和6年度中の候補DMOとしての登録を進めていることから、引き続き支援を行います。また、益田版DMOのビジョンである「豊かな自然のもとで、人と人とのつながりがある益田」の実現に向け、官民で一層の連携を図り、地域の魅力向上に資する観光資源の磨き上げや、受け入れ環境の整備などを進めるとともに、益田版DMOの自主独立した運営に向けて支援してまいります。

 また、中世益田の日本遺産については、令和8年度の認定継続審査に向けて、持続可能な取組や体制づくりが求められます。令和6年11月に開催する「第31回全国山城サミット益田大会」においては、市内に点在する日本遺産の構成文化財の周遊企画を実施するなど、中世益田の歴史文化の魅力を市内外に発信し、「日本遺産を通じた地域活性化計画」の目標達成につなげてまいります。

高速交通網の整備と維持・確保

 山陰道については、令和7年度に開通予定となっている三隅・益田道路の確実な供用開始、更には事業中の益田道路(久城~高津間)、益田西道路、益田・田万川道路の早期整備により、生活の利便性向上や産業基盤の強化につなげるため、引き続き要望等に注力してまいります。

 また、萩・石見空港の路線確保については、令和6年度を大きな正念場としておりました。令和6年8月10日から14日までの夏季限定運航となった大阪線については、搭乗率96.8パーセント(全て当初予定の機材で運航されたと仮定した場合)となり、まずは目標としていた90パーセントを大きく上回りました。東京線の利用状況については、令和6年7月末現在、前年度実績を上回ってはおりますが、年間目標15万2千人の搭乗者確保に向けては非常に厳しい水準で推移しています。

 観光振興や都市交流はもとより、利用拡大につながる方策を検討・実施し、引き続き萩・石見空港の路線の確保・充実を図ってまいります。

中山間地域振興

 国内の多くの自治体と同様に人口減少の進む本市では、近年、死亡者数が出生数を上回る自然減が激しく、特に周辺部において顕著となっています。

 一方で、市行政における人的・財政的資源にも制約があり、中山間地域の維持・存続のためには、自助・共助・公助の最適なバランスを図りつつ、効果的・効率的な支援を行う必要があります。

 令和6年4月にまとめられた「益田市中山間地域将来ビジョン」を参考にしながら、「(仮称)益田市中山間地域振興基本計画」の策定を進めるとともに、この計画に基づく施策等により、持続可能な地域づくりを志向してまいります。

 地域づくりの担い手育成としては、これまでの「ひとづくり」の取組が若者の回帰や定着といった具体的な成果として実を結びつつあることから、更に促進するとともに、より積極的な官民連携や都市自治体、県外の大学等との連携により、外部人材の募集・活用にも注力してまいります。

益田市型中高一貫教育の仕組みづくり

 これまでのライフキャリア教育に加え、全ての子どもたちの卒業後の選択肢の充実を図る「益田市型中高一貫教育」についても、精力を注いでまいります。

 令和3年度に開始した「算数・数学パワ-アップ教室」や、令和5年度からの「中高連携学力育成推進事業」は、年々参加者が増えてきており、児童・生徒は、大学生や高校生との関わりを通じ、学ぶことの楽しさを体感し、自ら学びに向かおうとする意識が芽生え始めています。今後は更なる学力の育成のため、中学校と高等学校との連携による学びの連続性を確保できる道筋を追求してまいります。

 「ライフキャリア教育」や「益田市型中高一貫教育」など、本市独自の教育施策を確立することで、将来の益田市を担う人材の育成・確保を図るとともに、子育て世代等に選ばれるまちを目指してまいります。

自治体DXと行財政改革

 これまでも庁内の窓口改革として「おくやみ手続きサポートサービス」や「書かない窓口」といった、市民サービスの向上と行政運営の効率化につながる取組を進めてまいりました。引き続き自治体DXに関する取組や職員の意識改革を進め、限られた人的資源の有効活用と行政サービスの更なる向上につなげてまいります。

 また、事業の優先順位を意識しながら各施策を効率的かつ集中的に実施していくことで、一層の財政の健全化にも努めてまいります。

おわりに

 中国最古の王朝とされる殷王朝の初代の王である湯王が自戒とした言葉に「日に新たに、日々新たに、また日に新たなり」というものがあります。私自身、絶えず変化と成長を遂げ、日々新たに挑戦し続けたいと考えております。

 今任期の4年間においては、これまでの土台の上に更に成果を築き、本市の限りない発展への道筋をより確実なものとすることで、市民の皆様の信頼と期待に応えるべく努めてまいる考えです。

 市民の皆様ならびに市議会議員各位の一層のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

政策企画局 秘書課
〒698-8650 島根県益田市常盤町1番1号
電話番号:0856-31-0111
ファックス:0856-23-2456

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